社畜はこうして作られた
待ちに待った新譜が出た! イギリスの女性ヴォーカリストであるジェス・グリンのセカンドアルバム。ファーストアルバムはすり切れるほど(LPレコード時代の表現だよねwww)聴いているので、首を長くして待っていた。
『Always In Between』というタイトル。全英でNo. 1ヒットとなった『I’ll Be There』はもちろん、現在のBBCランキングトップ10に入っている『All I Am』も収録されている。ファーストアルバムはかなりヒットしたけれど、きっとそれ以上に売れそうな気がする。
CDの発売は今月の24日らしいけれど、すでにApple Musicでは全曲が配信されている。先行リリースの段階でライブラリに登録しているので、今日からヘビロテの仲間入り。
いきなりブレイクしてしまった戸惑いと、大きな失恋と、ファーストアルバムの大ヒットによるプレッシャーで、このセカンドアルバムは完成まで3年を要したとのこと。それらを吹っ切ってリリースされているので、きっと期待できると思う。楽しみだなぁ。
さて、現代のサラリーマンが観るべきだと感じた映画がある。社畜という言葉が定着しているけれど、その始まりが見えたような作品だった。
『早春』という1956年の日本映画。小津安二郎監督の作品だけれど、ボクがこれまで観た小津作品とは一味ちがう内容だった。普通の家庭や社会を描く映画が多いけれど、この作品のテーマのひとつに不倫がある。だから全体にスリリングな展開で、映画全体を通して緊張感のある作品だった。
夫婦を演じているのは池部良さんと淡島千景さん。そして不倫相手の女性として写真の岸恵子さんが出演している。主人公夫婦には子供がいたが、病気で亡くしている。そんな夫婦のけん怠期に夫が過ちを犯し、夫婦関係が破綻しそうになる。
だけど様々な出来事があり、ラストでは再び夫婦がともに歩むことになるという内容。映画としてはこの夫婦の関係がメインになるけれど、本当に描かれているのはこの時代のサラリーマンの実像だと思う。
毎朝同じ時間に起きて、満員電車に揺られて会社に向かう。大企業に勤める主人公だけれど、将来的に重役になれるのは千人に一人。ただ年数を重ねて少しずつ給料が上がっていくのを待つしかない。
映画は昭和30年ころだから、高度経済成長が始まったばかり。現在の日本の基礎が成された時代ではあるけれど、当時も今も必死でサラリーマンが生きていたのがよくわかる。脱サラした知人をうらやましく思いながらも、会社組織のしがらみから抜けることができない。
この夫婦の危機も、結果的に東京から岡山への転勤命令によって救われることになる。自分の人生のすべてを、会社に委ねているサラリーマンの悲哀が痛々しい。まさに社畜と言っていい。現代とたいして変わっていないんだなぁと感じてしまった。
ただ当時は終身雇用と年功序列が機能していた。ところが現在の社畜の人にとって、それらはすでに崩壊しつつある。そういう意味では、現代のほうがより厳しいかもしれないね。
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