追い詰められてからが勝負
雲ひとつない青空、と言うけれど、今朝の神戸は本当に空しかなかった。朝の7時にゴミ出しでマンション階段の踊り場にさしかかったとき、空の美しさに圧倒されてしばらくその場から動けなかった。
今日は京都の時代祭。祇園で働いていたころは平安時代の衣装に扮した芸妓さんや舞妓さんとともに、ボクも裃を着て今日のような快適な空気の都大路を何度も歩いた。きっと今日の行列に参加した人も、気持ちよく歩けただろうね。
でもどれだけ昔の衣装を着けても、お祭りはお祭りでしかない。時代祭の行列にその当時の世界を見ることはできない。だけど映画の世界なら、遠い過去の時代でもリアルに再現することができる。過去の時代をモロに感じた、素晴らしい映画を観た。
『海賊と呼ばれた男』という2016年の日本映画。名前は変えてあるけれど、出光興産の創業者である出光佐三さんをモデルにした作品。主人公が成し遂げたことだけで言えば、ほぼ実話と言っていいだろう。
ボクは以前に百田尚樹さんの原作を読んでる。めちゃめちゃ面白くて、興奮した。本を読みながら笑い、怒り、勇気をもらいつつ感動で涙した。だけどあまりにスケールの大きい作品なので、映像化は難しいいだろうと思っていた。
ところがもうビックリ! さすが『ALWAYS 三丁目の夕日』を監督した山崎貴さん。この時代の描写にまったく違和感を覚えなかった。調べてみると、『ALWAYS 三丁目の夕日』の3倍もの VFXを使用したとのこと。冒頭の空襲のシーンなんか、リアルすぎで鳥肌が立った。
そして脚本の構成が素晴らしい。主人公の20代から90代までという壮大な物語を、よく2時間20分の映像に収めたと思う。どうしても割愛しなければいけないエピソードが出てくるなかで、ほぼ完璧にまとめられていたいたと思う。いやいや、これはすごいわ。
『永遠の0』でもタッグを組んでいるから、山崎監督と主演の岡田准一さんの息がピッタリだったんだろうね。『永遠の0』の岡田さんもよかったけれど、この映画の岡田さんはさらに素晴らしかった。特殊メイクがしてあるとはいえ、20代と60代を演じ分けるのは大変だったと思う。
原作とちがった魅力を見せつつ、原作のモチーフが完璧に映像化された作品だと思う。どんな窮地に陥っても決して逃げない主人公の心意気に、観ているこちらが勇気をもらえた。
追い詰められてからが本当の勝負。この映画はその真理を、登場人物たちが命がけで教えてくれる。いやぁ、いい映画だったなぁ。
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