死霊より怖いストーカー女
人生で避けていたことに向き合うことで、得られるメリットは想像しているよりデカい。
実際に体験してみて本当に嫌なものであれば、その先は悩むことなく避けられる。
でも体験してみることによって、まったく新しい世界観を手にすることもある。ちょっとした勇気を持つだけで、人生をより幅広い体験の場に変革できるかもしれない。
だからなんとなく嫌だなぁと思っていることも、とりあえずやってみるといい。そうすればそのことについて、中途半端なままで置いておく必要がなくなるから。同じ出来事に遭遇しても、即座に是非の判断ができる。
とまぁ大げさに書いているけれど、ボクが避けていたのは怖〜〜い映画。『羊たちの沈黙』なんて、ずっと気になっていたのに観るまで十数年もかかってしまった。でもすっかりあの世界に引き込まれ、関連する映画と原作を制覇してしまった。
そしていまトライしているのが、スティーブン・キングの世界。原作を制覇しつつ、これまで避けていた映画も積極的に観ている。先日もこのブログで紹介したけれど、ようやく『シャイニング』を観ることができた。
ということでずっと怖そうで宙ぶらりんになっていたこの映画を観た。
『ミザリー』という1990年のアメリカ映画。主演しているキャシー・ベイツは、ボクの大好きな女優さん。そしてこの映画でアカデミー主演女優賞を受賞したことも知っている。好きな俳優さんだけに気になっていたけれど、なかなか勇気が持てなかった。
でもこれではいけないと思い、初めての鑑賞にトライ。いきなり思ったのは、キャシー・ベイツが若い〜〜という感想だったwww
彼女が主演している映画で『フライド・グリーントマト』という大好きな作品がある。この映画の翌年公開なんだけれど、この映画のほうがより若く感じた。でもそんな感想を持っていられたのは映画が始まってほんのすこしだけ。あとはずっと恐怖の渦に引き込まれてしまった。
この映画にスティーブン・キング作品を象徴するような死霊も吸血鬼も出てこない。だけどそんな幽霊よりはるかに恐ろしいストーカー女が登場する。
それがキャシー・ベイツ演じるアニー。交通事故で瀕死の重傷を負った作家のポールを彼女が助ける。ところがアニーはポールのストーカーで、彼の後をずっと尾けていたから助けることができた。元看護師なので手当もできる。ポールは彼女の家に運ばれる。
アニーの本性は殺人鬼。おそらくサイコパスだろう。突然感情がコントロールできなくなり、狂ったようになって襲いかかる。ポールが書いた『ミザリー』の最新作で主人公のミザリーが死ぬことを知ったアニーは、ポールを監禁して死なない設定に書き直させる。その過程が怖いのなんのって……。
ポール役の俳優さんは『ゴッド・ファーザー』でアル・パチーノの兄を演じていたけれど、マフィア役の面影もないほどアニーにボロボロにされている。もうマジで気の毒すぎる。この写真のシーンでアニーはハンマーを持っている。この映画を観たことがある人は、このハンマーの使われ方を知っているよね?
とにかくキャシー・ベイツの演技は神がかっていた。本当におかしいやつにしか見えない。まともな瞬間との切り替えが絶妙で、主演女優賞は文句なしだと思う。何回殺しても、生き返ってきそうだったものなぁ。
とにかくめちゃ怖い映画だった。だけど素晴らしい彼女の演技を見ることができて最高の気分。原作はこの数十倍怖いそうなので、ぜひ読んでみよう。やっぱり勇気を出してよかったなぁ。
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