SOLA TODAY Vol.882
人間ってランキングが好きだよねぇ。大坂なおみ選手が女子テニスランキングの1位になったとき、まるで自分のことのように狂喜乱舞している人が大勢いた。ボクもうれしかったから、その気持ちはよくわかる。
それほど人間にとって『順位』は心惹かれるものなのだろう。『順位』によって優越感を覚えたり、劣等感にさいなまれたりする。他人との比較でしか自分の置かれた位置が見えないから、どうしても『順位』が気になる。ボクも自分の本のAmazonランキングはつい見てしまうものなぁ。そしてへこむwww
でも世の中には意味がないと感じるランキングがある。ボクはこのランキングを見てそう思った。
世界で一番「健康な国」はスペイン、2位はイタリア-日本は4位
健康に関する最新のランキングが発表されている。でもこれを見て、日本は4位で良かったとか、残念だとか感じるだろうか?
もしこのランキングを命名するのなら、『健康な国』ではなく、『健康でいられる国』に変えたほうがいい。健康であるかどうかは、個人に委ねられる要素が圧倒的に高い。このランキングの上位に入っている国の人であっても、酒びたりや飽食三昧の生活をしていたら不健康になる。
逆に言えば、健康でありたいと願っても難しい国があるということ。内戦やテロ、圧政者による弾圧や極度の貧困で、生きることが精一杯の国が世界中に存在している。
こんな能天気なランキングを発表する時間とお金があるのなら、『健康でいられない国』のランキングを公表するほうが有意義だと思う。頑張ればどうにかなる国のランキングではなく、健康なんて意識することさえできない国の存在を知ってもらうほうが重要だと思う。
こうしたことは日本国内にだってある。格差社会という言葉が知られることで、日本の貧困について様々な意見が飛び交っている。ある程度の経済的余力がある人は、貧困であるのは努力をしていないからだと言ってしまう。
職種を選り好みせずに必死で働け、死ぬ気で勉強して医者になればいい、なんてことを口にする。要するに貧困の原因は、怠惰であることだと指摘する。
もちろん怠惰が理由で貧困に陥っている人もいるだろう。人生に向き合うことなく、社会に対して不平ばかり言っている人がいるのは事実。
だけど両親の虐待やDV等による不可抗力的な要因によって、追い詰められた末に貧困となっている人も大勢いる。本当は支援が必要な状態なのに、見た目は普通なので誰にも気づかれない弱者という人が存在する。
その人自身が誰かに助けてもらう状態であることを自覚できないほど、精神が追い詰められている。そんな人に対して、「怠惰だからそうなるんだ」なんて絶対に言えない。悲しいけれど、日本でさえこんな現実が存在する。
もし自分の国が世界で一番『健康な国』だというランキングを知ったとき、それを無邪気に喜べる人は幸せだよねぇ。世界中の人がそうであれば本当にいいんだけれど。
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