生を受けて最初に出会う敵
どんな人にも敵やライバルがいる。自分ではそう思っていなくても、相手が敵意を抱いていることもあるだろう。両者の心に存在して渦巻くのは優越感、嫉妬、怒り、自尊心等、数えあげたらキリがない。
小説の文芸賞で最終選考に残ったりすると、会ったこともない人がライバルとして浮上する。そして自分が落選すると、あいつさえいなければ、なんて勘違いの言葉を吐いてしまったりする。自分の実力が足りないだけなのにねwww
そんなライバルのなかで、人生で最初に出会う人間がいる。それは兄弟姉妹。ひとりっ子の人にはわかりづらいかもしれないけれど、兄弟姉妹というのは愛情を抱きつつも、強烈なライバルだったりする。
もちろんそれは親の愛情を奪いあうから、少しでも自分のことをほめて欲しいし、かまって欲しい。あるいは怒られたくないし、嫌われたくない。両親が子供たちに平等に接してくれたらいいけれど、人間だから難しいだろう。相性というものは、親子でもあるからね。
もし親が公平に接していてくれたとしても、子供はそのまま素直に受け取れない。ちょっとしたことで失望して、自分のほうが愛されていないと思ってしまう。まぁそうして、大人になっていくんだろう。
だから兄弟姉妹の関係を描いた物語や映画は多い。先日紹介した『スタンド・バイ・ミー』では、主人公の少年は優秀な兄を亡くしている。両親はどことなく自分に冷たく、本当は兄ではなく自分に死んで欲しかったんだ、と思い悩んでいる。『イーグル・アイ』というSFアクション映画も同じ設定だったはず。
スティーブン・キングの『IT』という作品では弟を悪魔に殺された兄が主人公で、同じく兄は自分を責めている。兄弟姉妹の確執と愛は、人間にとって永遠のテーマなのかもしれないね。
そんな兄弟の葛藤と愛を、明るく楽しく描いたファンタジー映画がある。
『ザスーラ』(原題:Zathura: A Space Adventure)という2005年のアメリカ映画。初めて観たけれど、これがかなり面白かった。
末っ子のダニーは地下室でボロボロになったボードゲームを見つける。兄のウォルターに遊んで欲しくて声をかけるが、まったく無視される。それで一人でゲームを始めると、とんでもないことが起きる。
ゲームからカードが出てきて、それが現実に起きる。姉のリサを含めた3人は、家ごと宇宙空間へ放り出されてしまう。地球へ戻るためにはゲームを最後まで続けてゴールするしかない。
この設定はどこかで聞いたことがあるよね。そう『ジュマンジ』というロビン・ウイリアムが主演した映画。
パクリ感のある作品なんだけれど、ボクはこの作品のほうが好き。ファンタジー映画として、とてもよくできていたと思う。かなり笑っちゃうしね。
姉のリサを演じたクリステン・スチュワートが、男兄弟のあいだに入っていい味を出していた。途中で彼らを救うため、大人になったウォルターが登場する。パラレルワールドからやってきたんだけれで、姉のリサが成人した弟と知らずに惚れてしまうのに笑ってしまったwww
シンプルだけれど、とてもよくできた映画。兄弟の確執が信頼と愛情に変わっていく過程を、笑いながら楽しめる。何度も観たくなる作品だった。
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