集中力は直感を阻害する
直感を通じてやってくる情報は、その価値を議論するのが馬鹿らしいほど有用。ほんのささいなことから、人生を左右するようなことまで含めて貴重な洞察をもたらしてくれる。
最近でこそ自動車を運転するのは年に1度になったけれど、以前は1日置きにはハンドルをにぎっていた。土日で人が多いショッピングモール等に行くとき、気になるのは駐車場の空き状況。
運転しながらなんとなくイメージをしていると、ふいに駐車場の映像が見えてくる。そしてその直感にしたがってその場所へ向かうと、周囲は自動車が詰まっているのにそこだけスッと空くことが何度もあった。
小説を書くうえでも直感は必須になる。行き詰まったストーリーの打開策を、直感によって何度も受け取っている。ボクは作品が完成している未来からその情報を受け取っているつもりなんだけれど、直感を通じてアクセスできないとどうしようもない。
ボクが直感を得るために注意しているのは、集中しないこと。求めている答えを得ようとして、そのことについて全力で考えないようにしている。『問い』だけを宇宙に投げかけて、あとは放置する。そして集中せずにやれることを淡々と行う。
先ほどの例でいえば、車の運転がそう。運転は集中しているようで、実は分散した意識状態になっている。もし一点集中してスピードメーターしか見ていなかったら、歩行者が飛び出しきても気がつかない。運転というのは同時にいくつもの動作を進行させている。
運転をしなくなった最近では、お風呂がボクにとって直感と出会う場所になっている。特にお風呂を終えたあとの掃除中が最適。風呂あがりに掃除をしていると、投げかけていた『問い』の答えがやってくる。これはもう何度も実証済みなので、自信を持ってオススメできる。
なぜそんなときに直感がやってくるのか? そのことをとてもわかりやすく解説されている本を読んだ。
『集中力はいらない』森博嗣 著という本。
森さんはいまでこそ作家を専業とされているけれど、以前は大学教授も兼ねておられた。いやいや、大学教授がメインだった。忙しい教授としての仕事を抱えつつ、同時に小説家としてもベストセラーを量産されていた。
その秘密というか、精神的なノウハウが書かれている。直感や発想力に興味がある方は、かなりおすすめ。人生においてもっとも大切なことは『集中力』だ、と子供のころから刷り込まれている人は読むべきかもしれない。
何かに集中するということは、それ以外のものをオミットすることになる。直感や発想というものは、求めているものと関連のない分野からやってくることが多い。だからこそ新しいアイデアとして活用することができる。
自分が求めているものばかりに意識を向けることで、他の選択肢が見えなくなってしまう。そうなると斬新なアイデアなんて生まれない。つまり集中力は直感を阻害する、ということ。
集中力が必要なときはあるし、ボクも意識している。受け取った直感を使って文章を書くときは、集中力が欠かせない。だけで何でもかんでも集中すればいいというものじゃない。
この本では『集中思考』に相対するものとして、森さんによる『分散思考』について語られている。この本を読んで、ボクが無意識に『分散思考』を行なっていたことがよくわかった。
自分の感覚が理論武装できたので、これからもお風呂掃除にはげむとしよう!
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