39年後のセカンドキス
昨年の4月に自殺したミュージシャンのニューアルバムが昨日にリリースされた。
音楽プロデューサーで作曲家でもあるアヴィーチーの『TIM』という作品。アヴィーチーが昨年の4月28日に自殺したとき、このアルバムの録音はほぼ終わっていたそう。残されていたのは、完成間近な楽曲のコレクションとその音楽に関するメモ書き、メールのやり取り、テキスト・メッセージだったとのこと。
家族は彼の意思を継ぐため、このアルバムのリリースに踏み切った。この世から去ったあとに作品が残るなんて、とても不思議な気持ちになる。まるで死後からのメッセージのような気がする。
すでに『SOS』と『Tough Love』という2曲が先行リリースされていて、ボクは何度も聴いている。とても素敵な曲なので、惜しい才能が逝ってしまったなぁと残念な気持ちでいっぱい。今日初めてニューアルバムを通して聴いたけれど、とてもいい作品に仕上がっている。
ということでアヴィーチーのニューアルバムを祝して、『Tough Love』のミュージックビデオをアップしておこう。ボクの大好きな曲。ダンサーによる素晴らしいパフォーマンスも見られるよ。
このアルバムのように、現実にいない人とつながる感覚は不思議だけれどワクワクする。そして昨日読了した小説も、異世界の住人によるつながりを感じる作品だった。ラストシーンを読んだとき、感動のあまりマジで号泣して大変だった。
『アトランティスのこころ』下巻 スティーブン・キング著という小説。上巻については『異世界の恐怖が少年を大人にした』という記事に書いているので参照を。
この小説はいくつかの長編、中編、短編で構成されている。
上巻は『黄色いコートの下衆男たち』という作品。
下巻は『アトランティスのハーツ』、『盲のウィリー』、『なぜぼくらはヴェトナムにいるのか』、『天国のような夜が降ってくる』という4つの物語。
大勢の登場人物が出てきて、1960年から1999年までの物語が時系列に進む構成になっている。これらの物語ですべての作品にからんでくるのがキャロル・ガーバーという女性。
キャロルは1960年にボビーという同じ学年の少年を好きになる。11歳のときで、互いにファーストキスの相手だった。だけど上巻での事件によって二人は離ればなれになってしまう。
キャロスの人生は激しく変動する。大学生のときにはベトナム戦争の反戦行動に狂い、過激派に参加することで警察に追われる立場になる。ボビーや学生時代の恋人だったピートは、彼女が死んだことを新聞記事で知る。
ところがキャロルは名前を変えて生きていた。最後の『天国のような夜が降ってくる』という物語で、ボビーとキャロルは39年ぶりに再会する。不思議なことにボビーは死んだと思っているキャロルに会えることを信じていた。
それは上巻で異世界に消えたテッドという老人のおかげ。彼は時間を超えて移動できる。このあたりは『ダークタワー』シリーズを読んでいる人には理解できると思う。とにかく超能力者であり異世界の住人だから、驚くような奇跡を行うことができた。
その内容をここでくわしく書いても仕方ないので、ボクのように感動的な39年後のキャロルとボビーのセカンドキスに立ち会いたい人は、ぜひ本を手にとってほしい、あっ、そうそう、ハンカチは絶対に必要だからね。
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