人間社会にはびこる深い闇
こんなショッキングなミュージックビデオをだったとは……。
マドンナがニューアルバムをリリースしていて、次々とシングル曲のミュージックビデオを発表している。昨日リリースされたばかりの『God Control』という曲のビデオに衝撃を受けた。
ビデオに託されたメッセージは明らか。銃による被害が後を絶たないアメリカ社会に対して、マドンナからの強烈な警告メッセージだった。まるで映画のように編集されていて、8分ほどある長めのビデオだけど、大勢の人に見てほしいと思った。
ビデオのラストでマドンナの瞳から流れる悲しみと失意の涙は、もしかしたら本物かもしれない。それほどアメリカの銃問題の闇は深い。
そして同じく、アメリカという国家が抱えている深い闇を見せつけらた小説を読んだ。
『新編 風と共に去りぬ レッド・バトラー④』ドナルド・マッケイグ著という小説。名作映画として知られている『風と共に去りぬ』のスピンオフ小説。全6巻あるうちの第4巻を読了した。第3巻までの感想については『舞台裏での大活躍に感動』という記事に書いているので参照を。
いよいよ映画の後半と同じく、南北戦争後の物語に入った。そしてこの第4巻の最後で、ようやくレットとスカーレットが結婚する。
この第4巻を読むことで、映画では知ることのなかった衝撃的な事実に驚愕した。まさにそれは現代のアメリカでも残っている、深い、とても深い闇だった。
スカーレットは実家であるタラの税金が払えず、裕福なレットに借金を頼むシーンがある。貧乏を隠すため、スカーレットが実家のカーテンをドレスにしたシーンは有名。この物語でも同じドレスを着たスカーレットが登場する。
ところがレットは北軍に囚われの身だった。戦争絡みだとは思っていたけれど、なぜ彼が幽閉されているか映画では詳しく語られていない。それは親友だった黒人を助けるためだった。
南北戦争が終わって奴隷から解放された黒人たちは、かえってひどい人種差別を受けることになる。レットの友人はまっとうな商売で稼いでいる黒人だった。たまたま列車に乗っていたとき、白人娼婦の誘いを断った。ところが逆ギレした娼婦によって、冤罪で牢屋に入れられる。
レットは親友を助けようとしたが、当時の南部の白人は敗戦で心が荒んでいた。黒人をリンチして殺すことを渇望していた。それでなぶり殺されることを恐れた親友の頼みを受けたレットが、自分の銃で親友を撃ち殺した。その罪で収監されていたということだった。
もうひとつ驚いた事実がある。タラを再建するため妹の婚約者だったフランクを横取りしたスカーレット。それでなんとか実家を守った。そのフランクが死ぬシーンがある。きっかけはスカーレットが解放奴隷に襲われそうになったこと。
南部の男としては白人女性が襲われて黙っていられない。それで夫のフランクやアシュレーたちが復讐を決意する。アシュレーは大怪我をして、スカーレットの夫は命を落とす。この恐ろしい事態を収拾して警察沙汰にしないよう必死になったのは、映画と同じくレットだった。
驚いたのはその復讐がKKKによる犯行だったこと。白人至上主義者たちの集団で、白い頭巾をかぶった男たちがいまでもいるのを知っている人は多いだろう。なんとあの気弱でおとなしいメラニーの夫であるアシュレーが、KKKに所属していたなんて。この事実を小説で知って、アメリカの人種差別の闇の深さを思い知らされた。
もちろんレットは黒人を大切にする人なので、KKKを軽蔑している。だけどスカーレットのために夫のフランクとアシュレーを守ろうとした。やっぱりレットが一番カッコいい。結果としてそれでレットとスカーレットは結婚することになったんだけれどね。
映画を知らない人はわけがわからないだろうなぁ。まぁ気になった人は一度映画を観てほしい。本当に素晴らしい作品だから。
さてさて次は第5巻。映画との突き合わせがますます楽しくなりそう〜!
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