真のイケメンは汚名も容認する
異性にモテるか否かというのは、見た目が重要なのは否定しない。こんなこと書くとひがんでいると思われるだろうけれど、イケメンや美人に生まれついた人は人生のスタート時点でかなり有利なのは事実。
個人的な好みの差はあれど、不思議なことに『美』の基準というのはある程度共通している。一般的に美人だとかイケメンだとか言われる人は、多数の人がそのことに賛同するはず。人間の本能として、美しい遺伝子を残そうという意識が働くのかも。美しさは種の保存にとって有利に働くのだろう。知らんけどw
だけどテレビを見ていると、イケメンや美人なのにもったいないと感じることがある。『モニタリング』のような番組を見ていると、芸能人の本心が見えることが多い。見た目はイケメンや美人なのに、中身はそうでもないよなぁ思う人がたまにいる。心のイケメンや美人というのは、遺伝子だけではフォローできないものがあるのだろう。
現実は厳しいよね。だからフィクションの世界では心身ともにイケメンや美人のキャラが登場する。こうでありたい、という人間の理想がそうした人物を求めるからだろう。昨日読了した小説の主人公は、驚くほど心がイケメンだった。
『新編 風と共に去りぬ レット・バトラー⑤』ドナルド・マッケイグ著という小説。名作として知られている『風と共に去りぬ』スピンオフ小説で、レット・バトラーを主人公にした物語。全6部のうちの第5巻を読了した。第4巻までについては『人間社会にはびこる深い闇』というブログに書いているので参照を。
この第5巻で、ついに映画の『風と共に去りぬ』のラストと同じところまで来た。結婚したレットとスカーレットが、娘のボニーとスカーレットの親友だったメラニーの死によって離婚してしまう。
映画ではようやくレットを愛していることに気づいたスカーレットが、どうすればレットを取り戻すことができるか葛藤するシーンで終わる。当然ながら続きが気になるところ。別のスピンオフである『スカーレット』という続編小説では、二人はもう一度やり直す道を選び、ハッピーエンドになる。
ただし作者が別なので、この小説の第6巻はどうなるかわからない。その楽しみは置いておこう。
さてこの第5巻で思いもしなかった事実が明らかになる。レットの妹のローズマリーは、幼いころのあこがれだったアンドリューと再婚していた。だけど南北戦争後のアンドリューはどこかおかしくなり、KKKのリーダーとして黒人差別の先陣を切っていた。そして結果として北軍に黒人の殺害容疑で逮捕される。
有罪判決を受けたアンドリューは自殺する。そして残された遺書によって、読者に衝撃的な事実が明かされる。
ここまでの第4巻ではレットに隠し子がいることになっていた。母親はベルという名で、映画でも売春宿の経営者として登場している。レットが父親に勘当されてバトラー家を追い出されたのは、このベルの妊娠が大きな理由だった。その子供は立派に成人して、商売人として成功している。
ところがこの隠し子の本当の父親は、自殺したアンドリューだった。その当時借金で苦しんでいた彼の家は、この妊娠騒ぎが公になれば破産するしかなかった。そこで親友の危機を救おうとして、レットがその汚名を引き受けてくれたというのが真実だった。
なんというイケメンだろう。自分が家を追い出されるのをわかっていて、世間に対してひとことの言いわけもしない。それどころか路頭に迷っていたベルを助け、その息子を南北戦争の戦火から救い出しイギリスへ留学させている。まるで本当の父親のように。
スカーレットはバカだよなぁ。こんなイケメンを逃してしまうなんて。でもレットが家を出て、ようやく彼女もレットが心身ともにイケメンであることに気がついた。どうにか二人にハッピーエンドが訪れることを期待して、最後の第6巻を読むとしよう。
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