人の本音は怖く、切なく、でも美しい
アリアナ・グランデが久しぶりに新曲をリリースした。ソーシャル・ハウスという男性二人組とのコラボで、『Boyfriend』というタイトル。
曲と同時にミュージックビデオが昨日に解禁となった。なかなか変わったビデオで、かなり笑える。ボーイフレンドが他の女性と仲良くしている場面を見たアリアナが、その女に飛びついて殴りかかったり、弓矢で射るというシーンが登場する。
それは本音の幻想が映像化されたもので、すぐに冷静な彼女の様子に戻る。見た目は普通にふるまっていても、心のなかはこれほど怒り狂っているんだぞ、という映像になっている。
同じく他の男性といちゃついている様子を見て、ソーシャル・ハウスの一人が相手の男をぶちのめすシーンもある。これまた同じく幻想で、人間の本音のすさまじさに恐れつつも笑ってしまう。曲もいい雰囲気なので、リンクを貼っておこう。
人間はなかなか他人に本音を見せない。自宅から一歩外に出れば、いくつもの仮面をつけて歩いている。ボクも本音で怒ったり泣いたり悔しい姿を見せているのは妻だけ。すべてを見せられる相手だから、安心して本音を出せる。
もちろん人間の本音は怖いし、切ないもの。誰にも言えずに隠しているものだからね、だけどその本音を吐き出す人間の姿に、悲しみや苦しみだけでなく、ボクは美しさも感じる。心にたまったドロドロしたものを吐き出すことで、その人本来の美しさが自然と現れるんだと思う。
この映画を観ると、ボクはいつもそんな美しさを強く感じる。
『マイ・インターン』という2015年のアメリカ映画。何度も観ているし、ブログでも感想を書いている作品。だけど定期的に観たくなるので、今日も久しぶりにこの映画を楽しんだ。
ストーリーは割愛するけれど、この写真はボクがこの映画でもっとも好きな場面。ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイの素晴らしい演技を堪能できる。
この二人はベッドにいるけれど、恋人じゃないよ。アン・ハサウェイが会社の社長で、ロバート・デ・ニーロはシニアインターンという部下。でもラスト近くのこの場面では、二人に強い友情関係が成立している。
それまでずっと耐えてきた夫の浮気について、彼女は本音をぶちまける。それは彼が信頼できる友人だから。「離婚したら自分は死んでもお墓でひとりぼっちになる」と嘆く彼女に、自分の墓に一緒に入ればいいと答える。笑いながらも、じーんとする素敵なシーンなんだよね。
そして本音を吐き出してどこかスッキリした彼女は、二人でテレビを見ようと持ちかける。それがこの写真の場面。自分の怒りと恐れと悔しさと悲しみを吐き出したアン・ハサウェイが、とても美しく輝いて見える。心のドロドロを吐き出したからだね。
まだ観たことがない人は、ぜひ観て欲しい作品。ゲラゲラ笑いながらも、気持ちがおだやかになる素敵な映画だよ。
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