全てのSNSは盗み見されている
昔のテロは組織的なものがほとんどだった。事前に計画が練られ、周到な準備の末にテロが決行された。そしてご丁寧にも、その組織によって声明が発表された。
だからアメリカのCIAやNSAは、テロ組織の情報を集めることでテロを未然に防ごうとしてきた。成功したこともあれば、失敗の場合もあっただろう。911などは明らかな失敗だった。
ところが近年のテロは、組織だったものが少ない。個人が突発的に思いついて行動に移し、大勢の人の命を奪うことが増えた。先日アメリカで起きたテキサスの銃乱射事件は、テロだという認定をされている。
911での失敗や個人の突発的なテロに対応するため、アメリカの諜報組織は個人の行動を監視する必要に迫られている。悲しいかなこれがいまの世界の現実。だけど問題になるのは、調査対象の線引きができないということ。それゆえ、無差別に情報をチェックするという行動に出てしまう。
そんな暴挙を暴露した人物がいる。エドワード・スノーデンという人で、現在は母国であるアメリカに戻ることができずにロシアで暮らしている。エドワードが暴露したのはどのようなものか? その事実をとてもわかりやすく描いた映画を観た。
『スノーデン』という2016年のアメリカ映画。ある程度の事実を知っていたけれど、この映画でより深い事実を理解することができた。さすがオリバー・ストーン監督だよね。この映画を観ると、スノーデンが暴露した事実の恐ろしさと、その勇気に驚くしかなかった。
まだ新しい映画なので、内容については割愛しておこう。とにかくスノーデンは天才だったということ。だからCIAやNSAは重要なシステムを彼に構築させた。政府の真意を隠すことでね。
彼の天才的な仕事によって、アメリカ政府は世界中の人間の情報をゲットすることが可能になった。その数が映画でも出ているけれど言葉にならない。ネットを使っている限り、プライベートなんてないと思ったほうがいいほど。
スノーデンを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットの演技が素晴らしかった。ボクが彼を初めて知ったのは『インセプション』という映画。最近では『ザ・ウォーク』というツインタワーを綱渡りした人物の伝記映画も観た。
CIAの教官役で出演していたニコラス・ケイジもいい雰囲気だったなぁ。めちゃビックリしたのは、映画のラスト近くでスノーデンが本物に変わったこと。まったく知らずに観ていたから、目の錯覚かと思ってしまった。見事な本人役だったなぁ。
ただこの映画を観ていて、複雑な想いを持ったのは事実。映画に感情移入すると、スノーデンの行動を容認できる。2013年というあの時点では、彼の行動は正しかったと思う。
でもいまはどうなのだろう? おそらくアメリカは同様の行為を継続していると思う。そしてそのことによって、未然に防ぐことのできたテロもあったんじゃないのかな。いちいち公表しないから、そのあたりはわからないけれど。
個人のプライバシーは尊重するべきだと思うけれど、防犯カメラやドライブレコーダーの普及によって救われた人があるはず。昨日ニュースで報道されていたあおり運転なんて、明らかに被害者を殴っているからね。ドライブレコーダーがなかったら、暴行の事実を証明することはできなかっただろう。
ネットを利用するボクたちとしては、いつも他人の目にさらされていることを意識しておくべき。個人情報の漏洩を少しでも防げるように自衛しつつ、世間に知られて困るような行動を取らないようにするしかないよね。
とにかくいい映画だったので、オススメだよ〜!
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