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高羽そらさんインタビュー

生きるための逃げ道がない場所

生きたい、と思うのは動物の本能。それは自然なことだし、そうすることで全ての種は進化してきた。何よりも生き延びることが大切。そんな当たり前のことが、大きく歪められてしまうのが戦争。

 

特に日本の場合、武士の時代から死を尊ぶ傾向があった。生き恥をさらすくらいなら自ら腹を切る。武士にとって切腹を許されず斬首になることは、最大の恥辱だった。その精神は、大東亜戦争時代の日本軍にも根強く残っていた。

 

昨日の夕方、『父親たちの星条旗』という映画の感想を書いた。硫黄島におけるアメリカ軍の戦いをテーマにした作品。そしてこの映画を監督したクリント・イーストウッドが、今度は日本人の視点から硫黄島の戦闘を取り上げた。

 

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『硫黄島からの手紙』という2006年のアメリカ映画。ハリウッド作品なんだけれど、これは完璧な日本映画になっている。クリント・イーストウッドがメガホンを取ったことが信じらないほど、最初から最後まで日本映画だった。

 

それは渡辺謙さん、二宮和也さん、伊原剛志さん、そして中村獅童さんという出演陣の素晴らしい演技ゆえだと思う。この四人とも、本当に良かった。いま思い出しても心が震えるような壮絶な演技だった。アメリカの人は吹き替えで観たんだろうけれど、彼たちの演技を字幕で見て欲しいと本気で思った。

 

とても悲惨な話なんだけれど、本当に素敵な作品だった。この一連の作品は二つとも観るべきだと思う。そうすることで、戦っていたどちらの兵士も、同じ人間だったということを実感できるから。

 

硫黄島の戦争については、いまさらここで述べることはないだろう。『玉砕』という言葉を印象づけた、悲惨な戦場だったと思う。おそらくここで戦ったアメリカ兵は、死ぬことがわかっていて突き進んでくる日本兵に驚愕しただろうと思う。

 

だけど心のなかはちがう、召集されて家族を残してきた兵士たちは、生きて帰りたいというのが本音だろう。それを隠さないとやっていけないし、上官から懲罰を受けることになる。そして洗脳されていた部分もあるだろう。

 

二宮和也さんが演じた西郷という兵士は、妻とまだ顔を見ていない子供を本土に残している。何があっても生きて帰る、と妻とお腹の子供に約束していた。映画を見ている人は、彼を通じてどの兵士も生きたいと願っていたことを痛いほど感じるはず。

 

そして西郷は、三度も渡辺謙さんが演じる栗林中将に助けられる。最初は上官にムチで打たれているところを救われ、二度目は別の上官に首を落とされそうになるときに助けられた。お礼を言う西郷に対して、「二度あることは三度あるぞ」と栗林中将は答える。そしてそのとおりになった。

 

ほとんどの日本兵が玉砕していくなかで、栗林によって命を救われた西郷はラストシーンでアメリカの捕虜になる。おそらく終戦後は無事に日本へ戻って妻子に会っただろうと想像できるエンディングだった。

 

だけど西郷が生き延びたのは、いくつもの偶然が重なっただけのこと。上官による自決の決定を無視できたのも、たまたま栗林中将の自決するなと言う無線を耳にしただけのこと。同じ部隊の兵士は、ほとんど自決している。生きるための逃げ道がない戦場で、西郷はどうにか切り抜けてきただけのことだった。

 

戦後にGHQが日本人という民族とその国家を残したのは、こうした日本兵たちを見てきたからかもしれない。この映画を見て、ボクはそう思った。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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