良くも悪くも80年代だよなぁ
先日『グリコ・森永事件』をモチーフにした小説を読んだとき、1980年代という時代の感覚が強烈によみがえった。おそらくボクにとって、何が何だかわからず、無我夢中で生きていた時代だと思う。
80年代といえばボクが18歳から28歳のころ。関西外大を中退したあと家出してアパートで一人暮らしをしていたのが19歳で、その後は石川県で数年を過ごした。20代になって父親の会社で働き始めたものの、後継者であることに反発を感じて転職。
税理士事務所で働いて税理士を目指したけれど、いまでいうブラックな職場で、所得税の確定申告の時期なんて午前3時くらいまで職場にいる日々が10日くらい続いた生活だった。そしてあえなく税理士も挫折。
世相は『グリコ・森永事件』が話題をさらったと思ったら、翌年の1985年に起きた日航機墜落事故でグリコ事件のことなんかぶっ飛んだ。そのころからバブル経済が始まり、税理士事務所では驚くようなバブリーな話を見聞きした。21年ぶりのタイガースの優勝も印象深い。
とにかく80年代というのは、ボクにとってひとことで語れない時期だと思う。社会という渦に巻き込まれてしまって、完全に自分を見失っていた。でもそれはそれで、得るものがあった時期でもある。スピ系のセミナーに通いまくったり、奈良県の天河神社にハマったのもその時期だなぁ。80年代はチャネリングのブームもあったからね。
なぜこんなことを回想しているかと言えば、まさに80年代という映画を観たから。
『ベスト・キッド』(原題:The Moment of Truth / The Karate Kid)という1984年のアメリカ映画。
この翌年に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は何度も観たけれど、この映画は今回が初見。ヒットして続編ができたのも知っていたけれど、なんとなく観る気がしなくて放置していた。
でも食わず嫌いもよくないので、意を決して観てみた。なるほど、なかなか面白い映画だった。日本人の描写に違和感があるのはいつものことなので、それほど気にならなかった。続編ができたのはわかるような気がする。
ただ展開が読めすぎて、意外性がない。さらにいじめっ子だったジョニーが決勝で負けたとき、主人公のダニエルに向かってかけた賞賛の言葉に、気持ち悪くて思わず鳥肌が立った。そして、さすが80年代だなぁと笑ってしまった。
それまで非道の限りを尽くしていたのに、あんな簡単に豹変できるわけない。コーチの指導方針に疑問を持つなら、ここまでジョニーの性格は歪んでいないだろう。ケンカをふっかけたときは、ダニエルを殴り殺そうとしたくらいだからね。
そのいかにも感の強いエンディングが、良くも悪くも80年代だなぁと感じた。かなり面白かったら続編を観ようかと思ったけれど、まぁいいかな。ダニエルの勝利で終わっておくほうがいいような気がする。
やっぱ80年代というのは、ずいぶんと過去になってしまったんだねぇ。
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