正義と組織のどちらを選ぶ?
スパイ映画ほど面白いものはない。普通の人間では知ることのできない世界が描かれているからだろう。フィクションであって現実のスパイとはちがうとわかっていても、とにかく面白いものは面白い。
『007』や『ミッション・インポッシブル』がシリーズ化を継続しているのは、その事実を証明しているからだろう。これらの作品ほど有名ではないけれど、最高に面白いスパイ映画を観た。
『SPOOKS スプークス MI-5』(原題:Spooks: The Greater Good)という2015年のイギリス映画。
もともとは『MI-5 英国機密諜報部』というBBCのテレビドラマだったそう。2002年から2011年まで放送されていて、イギリスではかなりの人気番組だったとのこと。そのドラマをリブートした映画がこの作品になる。
ドラマの中心人物はハリーという英国諜報部の責任者で、ドラマではピータ・ファースという俳優さんが演じていた。そしてこの映画でも彼がハリーを演じていて、オジサンながらも大活躍している。
CIAが国際指名手配をしたカシムというテロリストの護送中、武装グループに襲撃される。市民への被害を懸念したハリーは、カシムを武装グループに引き渡す。そしてその責任を取って辞職した。
でも現場を離れた理由は、カシムを捕まえることだけではなく、MI-5の上層部の裏切り者をあぶり出すため。内部から手引きした人間がいたことで、カシムは逃亡した。それはMI-5を弱体化させて、アメリカのCIAの傘下におとしめようとする陰謀だった。黒幕は組織の解体を狙っていた。
そこでハリーが目をつけたは、過去に彼が解雇した諜報員のウィル。信用できるのは彼しかない。そしてハリーとウィルによって黒幕が暴かれ、事件が解決するという物語。
かなりストーリーが練られているので、どんでん返しも含めてめちゃ面白かった。ストーリー展開だけでいえば、『ミッション・インポッシブル』シリーズに負けていないと思う。
特に主人公のハリーがすごい。常に深読みして相手の一歩先を行く。そして元部下であったウィルが、その意図を汲んで完璧に仕事をする。テロリストのカシムを捕まえるために、わざとMI-5本部をテロの標的にさせるという奇策を持ち出す。
これ以上書くとネタバレになるかあらやめておこう。この映画のテーマになっているのは、組織を選ぶか正義を取るか、ということ。ハリーは汚れ仕事ができることで組織を守っている。過去に部下のウィルを解雇したのは、彼に善人でいて欲しかったから。それほどスパイは闇が深いということ。
とりあえずエグいシーンもないので、子供が観ても大丈夫だと思う。黒幕を予測しながら観ると、かなり楽しめると思う。特にハリーが黒幕に対して最後の最後に決定的なことをやってのける。このあたりの伏線の回収も見事だった。
やっぱりスパイ映画は面白いよなぁ。
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