真心はいつか必ず伝わる
ボクがTwitterでフォローしている著名な脚本家さんがいる。その方がTwitterでつぶやいておられたことに心惹かれた。脚本の勉強をしたければ、この映画さえ観ればいい、という内容だった。
タイトルは知っていたけれど、一度も観たことがなかった。なんせボクが生まれる前の作品だから。それでもそのツイートが気になっていたので、思い切って観ることにした。そして驚いた。なんて素敵な映画なんだろう!!!
『アパートの鍵貸します』(原題: The Apartment)という1960年の映画。ジャック・レモンとシャーリー・マクレーンが共演しているのは知っていた。だけどボクの知識はそこまで。古い恋愛映画だと思い込んでいたから、なかなか観ようとしなかったんだよね。
たしかに恋愛コメディなんだけれど、そもそもの設定が素晴らしい。ジャック・レモンが演じるバクスターは、ニューヨークの保険会社で働く普通のサラリーマン。だけど彼には秘密があった。
あることがきっかけで、自分が借りているアパートを重役に貸し出すようになった。他人に言えない女性を連れ込む場所がない重役たちに、人のいいバクスターは断りきれずに部屋を貸していた。だから予約が入っているときは自宅に戻れないし、場合によっては深夜に公園で眠ることもあった。
もちろん見返りは期待している。それは管理職としての出世。そしてその願いは叶い、少しずつ出世を重ねていく。ところがある日、とんでもないことを知る。
シャリー・マクレーンが演じるエレベータガールのフランに惚れているけれど、相手はその気になってくれない。どうやら彼女には恋人がいる。それも妻子のある男性らしい。その相手は、なんと自分の部屋を使っている部長だった。
そのうえ結婚できないことを悲観したフランが、バクスターの部屋で自殺未遂をしてしまう。でもバクスターの機転で命は助かり、自宅で彼女を看病する。フランもそんなバクスターに惹かれていく。
それでもバクスターはフランが部長を好きなのを感じ、周囲の人から誤解や非難を受けても気にせずフランと部長の秘密を守ろうと必死になる。
とにかくこのバクスターが本当にいいやつなんだよね。フランと部長を守ったことで、彼は最年少の重役になる。でもここからの彼がメチャかっこいい。フランへの愛を貫くため、夢にまで見た昇進を棒に振って会社を辞めてしまう。さてフランはどうするのか?
ハッピーエンドの物語で、ラストシーンが最高に素敵。本当に素晴らしい脚本だと思った。化粧コンパクトの鏡というアイテムの使い方が上手いし、パスタをテニスラケットで茹でるシーンなんて忘れられない。そして巧みに物語の伏線が張られていて、セリフのひとつひとつに心が揺さぶられた。登場人物の相関関係もいいんだよねぇ。
自分に正直に精一杯生きていたら、その真心はいつか必ず伝わる。そんなことを感じさせてもらえる素敵な作品だった。
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