意識シフトは連鎖反応で起きる
人間は年齢を重ねるほど自分自身に枠を設けてしまう。失敗や挫折を経験しながら、自分には無理だということのリストに取り囲まれてしまう。それはある意味仕方ないのだろう。
そうした抑圧を取り除こうとすれば、小さな成功体験を重ねつつ自己肯定感を高めていくしかない。地道だけれど、それがもっとも確実な方法だろう。
だけど人間には共感能力というものがある。潜在意識は集合意識として他者と共有している部分があり、圧倒的な変化の波によって連鎖反応が起きることがある。
日本陸上選手の短距離走がいい例だろう。誰か一人が100メートル走で10秒の壁を破ると、突然に続く選手が出てくる。フィギュアスケートでも4回転を飛ぶ女子選手が出てくることで、一気に他の選手も4回転を飛び始める。
これは人間の意識シフトも同じだと思う。誰かが自分の限界や抑圧から抜け出すのを見ることで、連鎖反応によってその波が広がっていく。コメディ映画でありながら、そのことを見せてくれる作品がある。
『スクール・オブ・ロック』という2003年のアメリカ映画。おそらくボクは7〜8回は観ているし、妻はもっと多く観ている作品。久しぶりに観たけれど、何度観ても飽きないし、思い切り笑える。そしてラストでは感動の涙で顔がぐちゃぐちゃになってしまう。
ロックミュージックが好きな人なら、絶対に観るべき作品。ロック愛が映画の全編を通じて感じられる。ボクのブログでも何度か紹介しているので、ストーリーについては置いておこう。
この映画のテーマは『ロックする』ということ。それはいままでの自分の殻を破り、新しい意識へとシフトすることでもある。この映画の私立学校は名門で、裕福な家庭の子供しか通えない。
だけど子供たちは親から英才教育を押し付けられ、自分というものを押し殺していた。教師たちもその校風に乗っかるしかないし、ジョーン・キューザック演じる校長のロザリーも、モンスターペアレンツにたじたじ。本来は明るくて自由な女性だったのに、完全に自分を抑圧しているという状態だった。
そんななかに、ジャック・ブラック演じるデューイという偽教師が紛れ込む。そして挫折を抱えつつもロックスターになることをあきらめない彼によって、周囲の空気が一変する。最初に連鎖反応が起きたのは子供たちだった。
面白いことに子供たちの覚醒によって、デューイ自身も自分が押しつぶされていた心の限界に気づく。そしてエンディングのバンドコンテストによってデューイもロックを始めたころの自分を思い出す。
その意識シフトはさらなる連鎖反応を誘発して、校長のロザリーや子供たちの親まで拡散していく。その変化をうながしたのがロックミュージックだった。とにかく爽快で笑い転げつつ、観ているボクらまで連鎖反応を起こして何かから解放されたような気分になれる。
音楽が好きでこの映画を観たことがない人がいたら、一度はこの連鎖反応を体験してみるべき。きっと病みつきになる。ちなみにエンドロールは絶対に見逃さないこと。最後まで笑えるからねwww
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