天才画家のダリが残した言葉
ボクがもっとも好きな画家はゴッホ。絵画にくわしいほうじゃないけれど、彼の絵は理屈抜きに惹かれる。あの独特な筆のタッチを見ているだけで、絵の向こうの世界に吸い込まれそうな気分になる。
そしてその次に好きな画家がダリ。彼の絵はあまりに意味不明でぶっ飛び過ぎていて、思考することを脳が拒否してしまう。だから不思議と長時間の瞑想をしたあとのような心境になる。
そんなダリが書いた本がある。天才画家であるダリが、若い画家のために惜しげもなく50の秘伝を記した著作。
『ダリ・私の50の秘伝 画家を志す者よ、ただ絵を描きたまえ!』サルヴァドール・ダリ著という本。
読み始めてすぐに感じたのは、ダリという人は絵画だけでなく、文章もぶっ飛んでいるということ。それゆえ読者がこの本の内容を理解するのは、かなりの努力を要する。ボクのように絵画の経験がない人間だとさらに大変だった。
後半の技術的な部分は流し読みするしかなかったけれど、天才画家のエッセンスを少しでも吸収しようと思い、精神的な部分に関してはかなり真剣に読み込んだ。そこでわかったことがある。
ダリという人は天才だと思う。だけど同時に努力の人だということもわかった。自分を律し、ストイックであり続けながら絵を描くことに邁進している。そのことを知っただけでも、いまのボクに勇気を与えてくれる本だった。決して才能だけじゃないということ。
この本のタイトルにあるように、絵画に対する50の秘伝が書かれている。でもそれ以外の別枠で、十の掟というものをダリは書き残している。これはしっかりと心に刻んでおきたいので、このブログにアップしておくことにした。
画家を志す者のための十の掟
一、画家は、貧乏であるよりは裕福であるほうがいい。したがって、君の筆からいかに黄金と宝石を生み出すかを学びたまえ。
二、完璧を恐れるな。君は絶対到達できはしないのだから!
三、昔の巨匠のよう素描と彩色を学ぶことから始めたまえ。そのあとでなら好きなように描くがいい。誰もが君を尊敬するだろう。
四、眼も、手も、脳も粗末に扱うな。画家になったとき、必要になるからだ。
五、君が、現代アートはフェルメールやラファエロを超えたと考える輩なら、本書を読むことはない。そのおめでたい愚かさに安住し続けるがいい。
六、自分の絵に罵詈雑言を吐くような真似をしてはいけない。でないと君が死んだとき、絵のほうが君を罵倒するだろうから。
七、怠惰のなかに傑作は生まれない!
八、画家よ、ただ絵を描きたまえ!
九、画家よ、アルコールを慎みたまえ。
十、君の絵が君を愛さなければ、君の絵に対する愛は何の効果ももたらさない。
ボクはこの十の掟の『画家』の文字を『作家』に読み替えている。他の分野の人でも同様のことが可能なはず。なぜなら、ここには究極的で普遍的な真実が書かれているから。
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