文字情報が動画を超えた
今年はお花見を自粛しているので、買い物中の散歩が桜を楽しむ時間。神戸はいよいよ桜が満開になってきた。
我が家の近所の桜。こんな雰囲気で、しばらくは近所の桜を紹介しようと思う。
さて、コミックもよりもアニメが好まれるように、小説よりも映画のほうが人の心をとらえる。
普通に考えたら、文字よりも動画のほうが内容を伝えやすい。そのうえ監督の適切な演出や俳優の見事な演技が加味されることで、大勢の人を感動させる。
そう思うと文字で書かれた小説は不利。どちらかといえば受け身的な動画に比べて、小説の場合は読み手の能動性が欠かせない。文字を読み込んでいかないと物語が進まない。
だけど小説には映画にないものがある。それは圧倒的に情報量が多いこと。さらに小説の読者は想像力を駆使するので、動画ではできない経験に導くことも可能。もちろん書き手には相当な文章力が必要だけれどねwww
昨日読了した小説は、そんな読者の想像力を刺激する作品だった。
『特捜部Q 〜檻の中の女〜』ユッシ・エーズラ・オールスン著という小説。
この作品は最初に映画を観た。著者はデンマークの作家で、その映画もデンマークの作品だった。期待せずに観たんだけれど、めちゃめちゃ面白かった。このブログでも紹介した。それで原作を読んだけれど、それがもっとすごい。
とにかく内容が濃い。映画は尺の関係で原作とちがう場合が多いけれど、この作品はその差が顕著だった。といっても映画は素晴らしかった。ただ登場人物の背景や事件の詳細に関して、原作の情報量にはかなわない。だから映画ではかなり割愛されて、かつ内容も変えられていた。
この特捜部Qというのは、未解決事件を扱う部署。といっても形だけ作られたもので、主人公のカールは左遷されたことでこの部署の担当になった。ある事件を追っていて、部下を一人死なせ、もうひとりを下半身付随にさせてしまったから。
この設定は映画も同じなんだけれど、カールのキャラが微妙にちがう。ボクは絶対に小説のカールのほうが大好き。乱暴で無茶をするところは同じだけれど、原作のカールには『心』がある。事件に対して、中途半端な捜査を許さないという彼の矜持を強く感じた。
そして相棒のアサドも、映画より原作のほうがかっこいい。さらに謎が多い。アラブ人でシリアの難民という設定は同じでも、彼の過去は想像もつかないような闇があるらしい。このシリーズは7作あるので、おそらく少しずつ明かされていくんだろう。
この1作目は、5年前に自殺したと思われていた国会議員の女性を助け出す物語。自殺ということで捜査はそれ以上されなかったが、実は監禁されていた。その謎をカールとアサドが解き明かしていく。かなり怖い内容だけれど、よくできた物語だと思う。
とにかく文字情報が動画を超えた作品であることはまちがいない。小説ってすごいなぁ、と感じさせてくれる作品だった。引き続きシリーズ作品を読んでいこうと思う。
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