やり切ることは素晴らしい
創作ということに関して絶対的に必要なのは、『完成させる』ということだと思う。下手でもいいし、失敗だと感じてもいい。とにかく最後までやり切ること。
それは小説に限らず、音楽や絵画等でも同じ。極端かもしれないけれど、手作りマスクもそう。何かを作るために第一歩を踏み出したのなら、最後までやり切るべきだと思う。
何かを完成させたという経験がないと、その枠から抜け出すことができない。批判や拒絶を恐れて途中でやめてしまうと、無力感に囚われてしまうだけ。とにかく完成させて、スキルアップしていくしかない。近道なんてないと思う。
そして次に大切なことは、その作品を他人の目にさらすこと。趣味でいいのなら自己満足でいいだろうけれど、本気で何かを創ろうとするのなら、他人の評価を受ける必要がある。そこまでやって、その作品についてやり切ったと言える。
今日観た映画は、何かをやり切ることの素晴らしさを感じさせてもらえる作品だった。心がポカポカになるとても素敵な映画。
『500ページの夢の束』(原題:Please Stand By)という2017年のアメリカ映画。天才子役でブレイクしたダコタ・ファニングが主演している。
久しぶりに彼女の演技を観たけれど、やっぱり天才だった。子役で成功してもポシャる人が多いけれど、彼女にそんなジンクスは必要なさそう。いい女優さんになったよね。いつかオスカーを手にすると確信した。
主人公のウェンディは自閉症。カンシャクをを起こすと止められない。姉と母の3人で暮らしていたが、母が他界した。それで姉のオードリーが面倒を見ていたけれど、姉は結婚して娘を出産した。もしウェンディがカンシャクを起こしたら、赤ちゃんに危害を加えるかもしれない。そう感じたことでウェンディを施設に預けた。
ウェンディが暮らしているのは、知的障害や情緒障害を抱えている人の自立を支援する施設。そんなウェンディには才能があった。それは文章を書くこと。彼女は『スタートレック』のオタクで、一般向けに『スタートレック』の脚本が公募されているのを知った。優勝賞金は10万ドル。
ウェンディが母と姉と暮らしていた実家が売られることになっていた。だけどその10万ドルがあれば売らずに済む。そう思ったウェンディは『スタートレック』の脚本を必死で書き上げる。
作品はギリギリに完成したけれど、面会に来た姉の言葉によってカンシャクを起こしてしまう。それで原稿を郵送する時間がなくなった。
10万ドルが手に入れば、実家を売らずに姉夫婦と姪っ子と一緒に暮らせるかもしれない。そう思ったウェンディは、施設を抜け出してロサンゼルスを目指すという物語。
ここからの冒険が楽しくもあり、ハラハラもさせられて大変だった。有り金は奪われるし、交通事故に巻き込まれるしで大変。途中で原稿の100ページ分を失ってしまうという出来事さえ起きた。そのうえ自閉症ゆえ他人とうまくコミュケーションが取れない。
そんなウェンディは無事に原稿を提出できるのか?
気になる人は、ぜひとも作品を。とても素敵なエンディングだったし、いまのようなギスギスした世界を忘れて優しい気持ちになれるはず。
とにかくダコタ・ファニングの演技の素晴らしさに圧倒された作品だった。
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