生まれる国を選べるとしたら
緊急事態宣言が出てボクが困っているのは、4日に1度しか外出できないことでも、外食できないことでも、散髪に行けないことでもない。
そもそも引きこもりが大好きなので、2日に1度の買い物が4日に1度になって楽チン。
外食はたまにランチをしていた程度なので、夕食は年に1度外食するかどうか。だからいつもと変わらない。
散髪は基本的に嫌いなので、行かなくていい理由ができてうれしい。いまは百均で買った髪留めが大活躍している。
唯一困っているというか、ちょっぴり寂しいのは図書館が閉館となっていること。3月の自粛期間中は予約本の受け取りと返却だけはできたけれど、4月に入って完全閉館となっている。
続きが気になる小説がいくつもあるけれど、緊急事態宣言が解除されるまでは仕方ない。それで自宅にある本を読み直している。
といってもミニマリスト生活をしているので、大量にあった本はほとんど処分した。いま手元に置いているのは10冊ちょっとかな。そこから選んだのはこの本。
『日本国紀』百田尚樹 著という本。久しぶりに読んだけれど、やっぱり手元に置いてよかったと思える本。
小説でベストセラーを連発している百田さんが書かれた日本通史。あくまでも通史なので、各時代の詳細なことは書かれていない。日本という国の歴史について、成り立ちから平成までの出来事が書かれている。
ボクは子供のころから歴史好き。だから高校生のころは、日本史の参考書を小説のようにして通して何度も読んだ。すべての人の人生は物語であり、それは国家という概念でも同じ。国の歴史というのは、壮大な物語だと思う。
ただし参考書というのは文章が面白くない。年代によって書いている人がちがうので、一貫した歴史観が文章にない。まぁ、もともと楽しませるために書かれたものじゃないからねwww
だけど百田さんの本は、著者の歴史観が如実に表現されている。もちろんいまの段階で判断できる事実に基づいて書かれているし、あいまいな部分についてはハッキリと明示されてある。だけど百田さんのフィルターを通した日本通史であるのは事実。
だからこそ物語として読める。百田さんが自分の文章に一貫して込められている想いは、日本人の素晴らしさだと思う。それゆえ、あえて日本人の愚かな部分についても触れておられる。個人と同じで、国家という集合意識にもいい面と悪い面が共存するからね。
そんな清濁を受け入れつつ全体を読んでいると、日本人って面白いなぁと思う。島国という要素も大きいんだろうけれど、他の国にはない日本人独特の空気感がある。
たとえば江戸時代の日本というのは、かなり治安がよかったそう。時代劇で山賊が登場するシーンがあったりするけれど、基本的には若い女性が一人で旅をすることができるほど治安がよかった。同じ時代の他国と比べると、考えらない状態らしい。
それは神戸や東北の震災のときにも思った。外国なら暴動が起きそうな事態だったのに、日本人は互いを助け合い、落ち着いた行動を取っていた。今回の緊急事態宣言に関しても、罰金等を設けることがなくても自粛が機能している。
もちろん一定数の人間がいれば、ルールを守れない人は出てくる。それは仕方ない。だけど全体として、外国の人が驚くような民度の高さだと思う。
もし生まれ変わりが存在するとして、自分が生まれる国を選べるとしよう。
そんなボクが日本を選んだのがわかるような気がする。だってどことなくユニークな民族だし、勤勉で我慢強い。戦争や自然災害という危機から立ち直る姿にも尊敬を覚える。学べることがいくつもありそう。
そう考えると、ボクが生まれる場所として京都を選んだのは納得かも。学校で日本史を学んでいると、京都に住んでいる人間は歴史が身近なことに感じる。なぜなら教科書に出てくる地名に親しみを持てるから。
京都の山科に住んでいたボクは、遊び場が天智天皇陵だったし、小栗栖の竹林で明智光秀が農民に殺された場所がすぐにイメージできる。京都御所周辺に住んでいる人だったら、蛤御門の変なんかも実際に起きたことだと感じられると思う
久しぶりにこの本を読んで、やっぱり日本を選んで良かったなぁと感じた。
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