天才であり続けるための条件
テレビドラマは一週間分を録画してまとめて観ている。先週の『エール』はメチメチャ良かったなぁ。マジで泣いてもうた。
天才音楽家の裕一がヨーロッパのコンテストで2位になった。そして留学も決まった。ところが世界的な不況で留学が取り消しに。
そしてその通知を受けた裕一は、実家の幸せと自分の幸せを天秤にかけたことで、婚約していた音に別れを告げたあとだった。自分の夢も恋人も失った裕一は、完璧なウツ状態になる。
そんな裕一を救ったのが音。いやぁ、彼女の凄まじいほどの執念に感動してしまった。そして結果として山田耕作(ドラマでは小山田耕三)の推薦があってレコード会社との契約が決まり、二人は駆け落ち同然で東京に出てくるところまでが先週分。
どれほどの天才でも、自分ひとりでは何もできない。音という未来の妻の存在がなければ、のちの大作曲家は生まれてなかった。
分野はちがうけれど、同じく天才を救った人たちの映画を観た。
『博士と彼女のセオリー』(原題:The Theory of Everything)という2014年のイギリス映画。2018年に亡くなったスティーブン・ホーキング博士の伝記映画。この映画の公開当時は、まだ御存命だったんだね。
スティーブン・ホーキング博士の著作は読んだことがあるけれど、彼の人生についてはALSという病気であることしか知らなかった。とても素晴らしい映画で、時間を忘れて見入ってしまった。
スティーブン・ホーキング博士を演じたのはエディ・レッドメイン。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』というハリー・ポッターのスピンオフ映画の印象が強かったけれど、この映画の彼はマジですごい。この作品でアカデミー主演男優賞を受賞したのは納得。
スティーブンはケンブリッジ大学の在学中にALSを発症した。博士論文を書こうとする前。そのとき知り合っていた恋人のジェーンとも、普通のカップルのような出会いだった。だけど病気の発覚で二人の人生は変わる。
先ほどの『エール』の裕一のように、天才科学者は2年という余命宣告をうけて絶望する。そしてやる気をなくしてウツ状態になってしまう。そんな彼を救ったのはジェーンだった。未来の無い彼と学生結婚することを選択する。
そして彼を支えたのは妻のジェーンだけじゃない。周囲の友人や恩師の大学教授たちがずっと寄り添ってきた。
天才というのはその人個人の才能だろう。だけど天才であり続けるための条件がある。それは周囲の人の支え。それなしでは天才が結果を残すことはできないと思う。
結果としてスティーブンとジェーンは離婚する。だけど二人の友情はスティーブンが死ぬまで続いていたし、彼らには素敵な3人の子供もいる。2年の余命だったはずなのに、周囲の人に支えられて彼は76歳まで生きた。
ALSの介護の難しさや、著名人ゆえの生きづらさ等、この映画には様々なテーマが盛り込まれている。基本的にはスティーブンとジェーンの物語なんだけれど、普通の生活ができない心の痛みがひしひしと伝わってくる作品だった。
やっぱイギリス映画はいいよなぁ。ちなみにスティーブンの学生時代の恩師であるデニス教授を演じたのは、デヴィッド・シューリス。ハリーポッターシリーズで、ハリーの父の親友であるリーマスを演じた人。相変わらずいい雰囲気の俳優さんだね。
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