わからんけれど好きってあるよね?
音楽や絵画、あるいは小説でも、いいところを説明できないけれど、好きだと感じる作品がある。
いいところどころか、客観的に鑑賞しても悪い部分しか見つからない場合もある。それなのに、「なんやわからんけれど好き」という作品に出会う。
この出会いは映画に関しても同じ。感情的に、あるいは生理的に不快感さえ覚えているのに、好きだと感じてしまう。いま思いついたのは『パルプ・フィクション』というクエンティン・タランティーノ監督の作品。
初めて観たとき、なんじゃこりゃ、と思った。何が言いたいのかわからんし、自動車の中で銃が暴発して脳みそが吹っ飛んだりする。なのに時々無性に観たくなる。つまりこの映画を好きだということ。だけど理由がよくわからない。
今日観た映画も同じ。ネガティブな要素しか目につかないのに、ボクはこの映画を気に入ってしまった。なぜだろう?
『アニー・イン・ザ・ターミナル』(原題:Terminal)という2018年のアイルランド、アメリカ、イギリス、ハンガリー、香港の合作映画。これだけでも怪しい雰囲気だよねwww
主演はマーゴット・ロビー。ボクがこの映画を好きだと感じる理由のひとつに、彼女の存在があるかもしれない。最近観た『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『アイトーニャ 史上最大のスキャンダル』という映画で素晴らしい演技を見せていたから、この作品も、彼女なしには成立しなかっただろう。
別の理由として、ボクの好きなサイモン・ペグが出演しているからかもしれない。『ミッション・インポッシブル』のベンジー役以外に彼の演技を見るようになって、いい俳優さんだと感じていたから。
まだ新しい映画で、ラストで大どんでん返し(たいしたことないけれどwww)もあるので、ネタバレはやめておこう。これから観る人もいるだろうからね。
主人公のアニーは24時間営業のダイナーで働くウェイトレス。だが彼女は殺し屋の元締めであるフランクリンに自分を売り込んだ。その実力を見せるためフランクリンが契約している殺し屋を始末してみせる。
アニーが殺し屋となったのは、彼女の壮大な復讐劇を完成させるためだった、という物語。
この映画の気になるところをあげたらキリがない。ラストのどんでん返しで明らかになった彼女の復讐心には共感できる。だけどこんな怪しいキャラになる意味がわからないwww
もっとストレートに復讐を果たせばいいんだけれど、とにかく回りくどいし変な女。だけどついつい最後まで観てしまい、この映画が好きだと感じた。
その理由は先ほども書いたように、マーゴット・ロビーが綺麗で、かつ怪しい演技に徹していたから。アニーというぶっ飛んだキャラに惹かれてしまうからだと思う。
さらに魅力的なのは、この映画の世界観。見事なほど非日常感が演出されていて、夢の世界を見ているような気がする。極彩色のカラーで画面が構成されていて、異世界感が半端ない。『ブレード・ランナー』という映画が好きな人なら、その雰囲気をわかってもらえると思う。
とにかく不思議で、ちょっと怖い映画だった。マーゴット・ロビーという女優さんは、近いうちにオスカーを受賞しそうな気がするなぁ。
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