火葬しても体が燃えない執着
いまボクは幽霊が主人公の小説を書いているので、この世に対する人間の執着や心残りについて注目している。幽霊に欠かせないのが、死んでも死にきれないほどの強い執着だろう。
そんなボクにとって、とても勉強になるドラマを観た。定期的に放送されるオムニバスのドラマシリーズ。
『世にも奇妙な物語 夏の特別編』(2020年)というもので、先日に放送されたのを録画しておいた。本当は春編として放送される予定だったけれど、新型コロナウイルスの影響で夏まで延期されていたとのこと。
今回はどの作品もそれなりに面白くて、小説を書くためのいい勉強になった。簡単に内容を紹介しておこう。
『しみ』
主演は広瀬アリスさん。両親と娘で経営するクリーニング店に異変が起きる。謎の女性が持ち込んだ『染み抜き』の依頼を受けたあと、家族に悲劇が起きる。人間の顔のようなしみを肉体に残し、両親が死んでしまう。そして娘にも、しみが襲いかかる。それは過去の殺人事件を隠蔽した復讐だった。オチに少し難があるのは残念。
『3つの願い』
主演は伊藤英明さん。リサイクルショップで働く人生に絶望していた男が、アラジンの魔法のランプにを手にする。そして3つの願いを叶えてもらうことで、美しい妻と大邸宅に暮らすことになった。ところがランプの魔人は、『無から願いを作れないので、あなたが手にしたものは誰かから奪ったもの」と説明する。その言葉が意味する恐怖が、やがて主人公に襲いかかる。
『配信者』
主演は白洲迅さん。ある情報番組のADが、仕事の合間に動画をアップしていた。だけどどうしてもバズらない。ところが、こうすればバズるというアイデアにしたがったことで、命を狙われてしまうという物語。臨場感があってハラハラドキドキさせられた。
そしてボクが最も笑って、かつ勉強になったのがこのドラマ。
『燃えない親父』
主演は杏さん。前回の朝ドラの『スカーレット』で好演していた松下 洸平さんも出演している。物語は火葬場で始まる。父親が亡くなり、3人の兄弟姉妹と祖母が立ち会った。最後の別れをして火葬が終わるのを待っていると、火葬場の係員が控え室に飛び込んできて叫ぶ。
『ご遺体が燃えませ〜ん!」
何度やっても父親の遺体が火葬できない。もうその度にボクは笑い転げてしまった。どうやら父に心残りがあるらしく、それを解消するまで父は絶対に火葬させないつもりらしい。そう判断した3人の子供たちは、父親の心残りを必死になって探す。
その過程で家族のこれまでの関わりや確執、そして早くに亡くなった母親に対するみんなの思いが明らかになっていく。そして最後にようやく父の心残りが見つかる。ボクはその結末を見て、本気で泣いてしまった。まだこれから観る人もあると思うので、ネタバレはしないでおこう。
だけど火葬させないほどの心残りって、本当にすごいよね。ボクはこの発想がメチャメチャ気に入ってしまったwww
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