優れた発想が台無しだった
2年前に衝撃的なデビューをしたエイバ・マックスが、今月の18日に待望のデビューアルバムをリリースした。
『Heaven & Hell』というタイトル。すでにリリースされている過去のヒットシングルがすべて収録されている。それらの曲を完璧に知っているボクとしては、まだ公表されていなかった曲を聴くのが楽しみ。さっそくそんな新しい曲のミュージック・ビデオが、アルバムのリリースと同時に公開されている。
タイトルは『Naked』で、彼女らしいちょっと怪しげなポップソングになっている。エイバ・マックスは『へんげ』するミュージシャンだと思う。曲によって自らの雰囲気を完璧に変えてしまうので、何をしでかすのかわからない面白さがある。だから彼女独自の雰囲気を持っている。
強いて言えば、彼女に近い先輩はレディー・ガガだろう。まだ新人っぽい雰囲気が強いけれど、ガガのようなカリスマ性が発揮されたら大化けする可能性があると思う。ボクが言わんとすることは、そのビデオを見てもらえばわかると思う。
ついでに同じく昨日にリリースされた、本家本元のレディー・ガガのニュージックビデオも紹介しておこう。『911』というタイトルで、彼女のニューアルバムのなかでボクがベスト3にあげている大好きな曲。映画のような構成になっていて、さすがだなぁと唸ってしまうほど素晴らしいビデオだった。
いつかエイバ・マックスも、レディー・ガガのようなビッグなアーティストになってくれたらと願っている。アプローチはうまくいったから、問題はこれから先だよね。失速することがないよう、自分らしさを貫いて欲しいと思う。
せっかくいいスタートを切っても、それを継続できなければ最悪なことになってしまう。まさにそのとおりの映画を観た。
『(r)adius ラディウス』という2017年のカナダ映画。
映画の冒頭は最高の出だしだった。主人公のリアムが意識不明から目を覚ます。記憶を完全に失くしていて、自分の名前は運転免許証で知った。ヒッチハイクして助けを求めようとすると、近づいてきた運転手が死んでしまう。ダイナーに入ると、店の中にいる全員が即死した。
リアムがいる半径15メートル以内に侵入すると、人間も動物も一瞬で死んでしまうという設定。これだけでこの映画は成功しそうな予感がする。そしてもっと面白いのは、そのとき一緒にいた女性であるジェーンの登場。
リアムとジェーンが一緒にいるときは、誰が近づいても死ぬことはない。だけどジェーンがリアムから15メートル以上離れると、その範囲に入った人間は死ぬ。だから他人を殺さないためには、二人は絶対に離れることができない。もちろんジェーンも記憶をなくしている。
さてここからどうなるのか? ボクはワクワクしながら観ていた。
ところがエンディングを迎えると、ありきたりなサスペンス映画のようなラストになってしまった。リアムがラストでどんな行動をするかも、簡単に読めてしまう。そしてなぜ二人にこんなことが起きたのか、何も解明されないまま終わってしまう。これはさすがにひどい。
NASAが登場するけれど、原因らしき事実が語られるだけ。後半の展開をそのまま使ってもいいから、リアムに起きたことをもっと物語に盛り込んだら、素晴らし映画になっていたと思う。残念というより、何を考えてたのか理解不能という展開だったなぁ。せっかくの素晴らしい発想が台無しだった。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。