映画は原作の引き立て役だね
原作と映画がちがうのは当たり前。映画は限られた時間に物語を完結しなくてはいけないので、ストーリーが変更されるのは仕方ない。
だけどちがっていても、普通はそれぞれに面白い。基本的に原作のほうが面白いけれど、まれに原作をしのぐ映画に出会うこともある。
ところがある原作を読み終えて、映画が原作の引き立て役でしかないのを知った。ボクのように先に映画を観て原作を読んだ人は、物語の面白さに感動しただろうと思う。でも反対に原作を先に読んでいるファンは、映画を観て暴れてたくなっただろうなwww
『シャドウハンター 骨の街』下巻 カサンドラ・クレア著という小説。上巻の感想については『独自の世界観に惚れ込んだ』という記事に書いているので参照を。
ニューヨークを舞台にしたファンタジー作品で、妖魔を倒すシャドウハンターたちの活躍を描いたベストセラー小説。シャドウハンターは人間と天使のハーフで、異次元から潜入する妖魔を抹殺する使命がある。それ以外に吸血鬼、人狼、魔王使い、さらにゾンビのようなキャラも登場する。
ボク個人の感想だけれど、基本的なコンセプトは『ハリーポッター』だと思う。主人公のクラリーは15歳の少女。母親と二人暮らしだったけれど、いきなり化け物が襲いかかって母が拉致される。
実は母は優秀なシャドウハンターで、娘のクラリーもその血を引いていた。そのことがきっかけで、ジェイスというシャドウハンターと出会い、同じ十代の仲間たちと協力して母を助けるという物語。
ハリーポッターのヴォルデモートにあたるのが、シャドウハンターの裏切り者で闇の組織を仕切るヴァレンタインという男。実はクラリーの父親がヴァレンタインだった。ここまでは映画も同じ。
上巻を読んだ段階では、細かいエピソードにちがいはあっても、おおむねは映画と同じ方向に物語が進んでいた。ところが下巻になるとまったく雰囲気がちがう。設定が詳細で、登場人物の背景もまったく異質な空気感がある。とにかくめちゃめちゃ面白い。
だから映画とはエンディンがまったくちがう。この小説は3部作になっているので物語はまだ続く。だけどおそらく映画に関しては、1回きりの物語として無理やりに完結させようとした感が強い。それゆえ大幅なストーリーの変更になったんだろう。
ただ映画はとても大切なことをスルーしてしまった。小説ではクラリーとジェイスの恋が深まるような展開になっていく。映画でもそうだった。
だけど原作ではとんでもない事実が明らかになる。ジェイスはクラリーの実の兄だった。もちろん二人ともそれを知らずに、互いに恋心を抱いていた。ヴァレンタイにそのことを明かされて、二人は呆然とするシーンがある。
でも映画はこの部分についてスルー。もしそこに踏み込めば、続編を作らざるをえないからだろう。だけどこの物語に大切なのは、二人が兄妹であるということ。そこを抜きにすると、物語の魅力が半減してしまう。
映画を観たときにイマイチだと感じていたけれど、その理由がわかった。だけどこの物語の世界観が気に入ったので原作を手にした。その直感にしたがってよかったなぁと思う。ということで次は第2部にあたる続編を読むとしよう。
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