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高羽そらさんインタビュー

人の狂気を目の当たりにした

刑事事件の判決における苦手な言葉に、心神喪失というものがある。殺人事件等でよく耳にする。被告の弁護士がよく使う言葉で、無罪、あるいは少しでも低い量刑を目的としている。言い方は悪いけれど、心を病んでいる人は、誰かを殺しても刑務所ではなく病院に行くということ。

 

ただ被害者の立場になればたまったものじゃない。そんな人間を野放しにするなよ、というのが本音だろう。

 

今日観た映画も、その心神耗弱だと思われる人間が犯した犯罪をテーマにしたもの。ただ一般的なケースとちがうことで、なんともいえない気分になる作品だった。

 

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『フォックスキャッチャー』という2014年のアメリカ映画。ロサンゼルスオリンピックのレスリングで金メダルをとったデイブ・シュルツの射殺事件という実話をもとにした作品。ラストシーンに唖然とするけれど、映画としてはかなりの秀作だと思う。

 

主人公の一人はデイブ・シュルツの弟であるマーク・シュルツ。マークも兄のデイブと同じくロス五輪の金メダリスト。次のソウルオリンピックでも金を狙っていた。そんなマークに、大富豪の財閥であるジョン・デュポンが接触してくる。

 

ジョンはレスリングのファンで、自分も選手になることを憧れていた。それで自前の練習場を作り、そこから金メダリストを誕生させたいとのこと。そのチームの名前が『フォックスキャッチャー』という。

 

マークは豪邸を与えられ、多額の年棒も保証されてそのチームに参加する。ジョンはできることなら兄のデイブも誘って欲しいとのこと。だけどデイブはその誘いを断る。マークも自分のメダルが兄のおかげだと世間に言われていたから、兄とは離れてメダルを取りたかった。

 

世界選手権を優勝したマークは、ジョンのお気に入りとなる。だけどジョンの奇行に悩まされるようになってきた。映画では触れていないけれど、実話を調べると、ジョンは統合失調症だったそう。

 

それで距離をとり始めたマークに見切りをつけたジョンは、多額の年棒と豪邸を用意してデイブの家族をチームに引き入れることに成功する。その結果、マークは集中することができず。ソウルオリンピックで惨敗する。

 

マークはチームを去ったが、兄のデイブはそのまま残った。ジョンの奇行は気にしていたけれど、まさか殺されるとまでは思っていなかったのだろう。そしてラストではジョンによる凶行が起きる。

 

そこで実話を調べてみると、裁判ではジョンの心の病気は認定されている。だけど完全無罪とはいえず、刑務所に収監された。そして2010年に刑務所で亡くなったとのこと。ただ殺人の動機はいまだに明確になっていない。

 

だからこの映画のラストはそのあたりが詳細に描かれていない。ジョンの奇行が危険を孕んでいることは常に感じるし、最初から最後までいい知れない緊張感があった。それはジョンを演じたスティーブ・カレルの鬼気迫る演技ゆえだと思う。

 

ボクの知っているスティーブは、『ブルース・オールマイティ』という映画で主役のライバルアナウンサーを演じたコメディアン俳優としての彼。だからこの映画の演技を見て、同じ俳優さんだとは思えなかった。この作品でアカデミー主演男優賞にノミネートされたのは当然だと思う。

 

母親に認めて欲しいがためにレスリングのチームを作ったジョン。そのマザコンぶりがすでに異常だし、コーチもできなないのにマスコミの前でコーチらしさを演ずる様子が痛々しい。とにかく奇行の連発で、いつ銃をぶっ放しても不思議じゃない空気を持っている人物だった。

 

このジョンを見ていると、人間の狂気を目の当たりにしたような悪寒が走る。本当にすごい演技だった。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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