今だから書ける11月事変
コロナに始まりコロナに終わりそうな2020年。12月に入って1週間ほど経ったスーパーを見ていると、どことなく去年より寂しげに感じる。いちおうクリスマスやお正月向けの商品が並んでいる。でも全体的にテンションの低い感じが否めない。
自然もなんとなくそんな雰囲気を感じているのか、今年の神戸六甲山の紅葉もテンションが低めのように思う。
我が家の玄関前からの今日の写真。もしかしたらこれから色が鮮やかになるかも。今年の紅葉はここから見る景色だけになるだろう。
さてそんな大変な2020年において、我が家に大事件が起きた。それが先月の11月。まさに11月事変と呼んでいいような出来事だった。
我が家の愛息である猫のミューナが病気になった。
ちょうど1ヶ月ほど前から、急に食欲が落ちた。最初は様子を見ていたけれど、大好きな鰹節でさえ口にしようとしない。臆病なミューナを病院に連れて行くかどうか妻と二人でかなり悩んだ。でもあまりに様子がおかしいので、11月11日に病院へ連れて行った。
我が家のとなり町の神戸市東灘区に、猫専門の獣医さんがある。タクシーで行けば15分くらいの距離。朝一番にタクシーを呼んで病院へ向かった。そしてさっそく血液検査を受けた。その結果を説明する獣医さんの言葉に気を失いそうになった。
『慢性腎不全です。かなり重症ですね」
猫を飼っている人なら耳にすることの多い病気。猫の先祖は砂漠での暮らしに適応するため、少ない水で生き延びることができるように腎臓を発達させた。だから犬に比べてハイスペックな腎臓を持っている。ただしハイスペックだけに耐用年数が短い。
いまのように飼い猫が長生きするようになると、どうしても腎臓がその高齢に耐えられなくなる。14歳5ヶ月だったミューナにすれば、年齢的に来るべきものがきたという病気だった。わずか3歳くらいで発病する猫もいるから、年齢的には妥当なところだろう。定期検診を受けていても、防ぐことが難しい病気とのこと。猫にとって宿命的なものらしい。
だけど家族であるボクたち夫婦にとって、理屈でわかっていても受け入れることは難しい。とにかく脱水状態を解消して尿毒症を抑えるしかない。それで2日に1度の点滴を受けることになった。これは皮下点滴というもので、筋肉と毛皮のすきまに生理食塩水を補給する方法。
それからの1週間がもっとも大変で辛かった。まったく食べ物を受け付けず、見るからに痩せていくのがわかる。足が震えて普通に立っていることができず、トイレに行くのが精一杯だった。
とにかくミューナの様子を把握できるよう、ボクと妻は布団を寝室からリビングへ運んだ。リビングならミューナのトイレもご飯も近い。症状が急変しても対応することができる。二人分の布団プラス、妻がコタツで作ってくれた天蓋付きのミューナのベッドの3つを並べて寝るようになった。いまもそれを続けている。
だけど点滴を始めても悪くなる一方。一時期はボクたちもあきらめて、獣医さんに安楽死のことを尋ねたほど。葬儀をしてくれるところを探しながら、ボクたち夫婦は本気でミューナとの別れを覚悟した。どれだけ二人で泣いたことか。ミューナの前では泣けないから、風呂場やトイレで泣いた。
ところが二人だけあきらめない人がいた。それはミューナと獣医さん。
点滴を始めて1週間ほどして、急にミューナの雰囲気が変わった。それまで口にしなかったキャットフードを少しだけ食べた。すぐに吐いてしまったけれど、彼の生きる執念のようなものを感じた。ちょうどタイミングよく腎臓サポート用のキャットフードを用意していた。
ロイヤルカナンの腎臓サポートというドライフード。『腎臓サポート』、『腎臓サポートスペシャル』、『腎臓サポートセレクション』の3種類がある。もっとも腎臓に優しいのは最初の『腎臓サポート』。そのフードを、食欲が戻ったミューナが勢いよく食べてくれた。それだけで涙が出た。
そこからの回復がすごい。バリバリとご飯を食べるようになり、1週間を過ぎたあたりから2日に1度の点滴が3日に1度、4日に1度と伸びるようになった。家では元気に走り回り、以前のようにゴロゴロと甘えてくれる。
そして11月30日になると、ついに1週間の1度の点滴でいいようになった。そして今日、1週間ぶりに点滴を受けてきた。元気なころは5キロ近くあった体重が、初診時には3.6キロまで落ちていた。
でも今日になって体重を測ると、なんと1週間で3.9キロまで増えていた。獣医さんも驚かれた。このペースで点滴を続けながら、再度血液検査をして、その結果によって今後の治療方針を決めていこうとのこと。それが今日までの経過。
治ることのない病気なので、残された腎臓の機能を少しでも長持ちさせるしかない。だけど治療を受けたミューナは、いまのところは発病以前よりも元気になったような気がする。いまもボクの周囲を走り回っていたwww
ボクも妻も一度は覚悟した。だからその覚悟は大切にしておこうと思う。
そしていまは3人でいられる時間を大切にしようと思っている。まずは無事にクリスマスを迎えること。その次は元気で新年を迎えること。少しずつでいいからその時間を伸ばし、来年の6月に15歳の誕生日を一緒に祝えることができたら最高だと思っている。その勢いなら、その次の誕生日だった夢じゃないと思う。
とにかく闘病生活は続くけれど、少しでもミューナが快適に過ごせるように全力を尽くしたい。またその後の経過がわかれば、このブログで公開しようと思っている。
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