怖いというより、笑えるゾンビ
最近の映画はCGが過去に比べて格段に進化しているので、リアルな映像に事欠かない。それゆえホラーや猟奇殺人を扱った作品の映像はマジで怖い。
だけどCGが使えない時代は、美術スタッフやスタントマンたちが必死になってリアルな映像を作ってきたはず。そんな熱意を感じる映画を観た。ただしその熱意が空回りしているのか、あるいはあえて意図的なものなのかわからないけれど、めちゃ笑えるゾンビ映画を観た。
2021年 映画#18
『ゾンビ』(原題: Dawn of the Dead、国際題: Zombie)という1978年のアメリカ映画。ボクは知らなかったけれど、ゾンビ映画の先駆けとなった有名な映画らしい。ということで話のタネに観ることにした。
主人公は4人。テレビ局員のフランシーンと恋人のスティーブン。そしてSWAT隊員のピーターとロジャー。スティーブンはテレビ局のヘリコプターのパイロットで、ゾンビが街中にあふれるフィラデルフィアから逃亡しようとフランシーンを誘う。
友人のロジャーもヘリコプターに同乗する予定だったけれど、任務の途中にピーターと行動を共にしてことで4人で逃げることになった。ただ燃料の補給がなかなか難しい。そこでゾンビに占領されたショッピングモールに籠城することを決める。
ちなみにこの映画の設定はあまりにもいい加減www なぜソンビが発生したのかまったくわからないし、その解決策も最後まで提示されない。そして大変なことが起きているのに、どこか悲壮感がない。生き残った人たちは武器を手に入れて、ゾンビ狩りを楽しんでいる。とにかくわけがわからない。
4人は知恵を絞ることで、モールに他のソンビが入らないようにして、モール内のゾンビは全滅させる。だからモール内の物品は使い放題。食料も武器も豊富にあるし、必要ないけれど現金だってつかみ放題。妊娠していたフランシーンは不安を抱えていたけれど、スティーブンに説得されてここで暮らそうとしていた。
もちろんそのまま終わるわけがない。同じく生き延びていた人間が、モール街を奪おうとして4人を攻撃してくる。さらにその人間たちがバリケードを破ったことで、ゾンビたちも大量に侵入する。ということでラストは大騒ぎ。
結局、スティーブンとロジャーはゾンビにかまれてゾンビ化してしまう。最終的に逃げたのはピーターとフランシーンというエンディングだった。とにかくストーリーにあまり意味がなく、ただ大騒ぎしているだけの映画だったwww
ラストの騒動ではゾンビに襲われた人間の内臓が飛び散ったり、ゾンビの首が宙をまったりする。最初から最後まで血液が飛び散るシーンが続いている。だけどいまの映画とちがって血液は嘘っぽいし、ゾンビが人間を食いちぎるシーンもリアリティに欠ける。
だから怖いというより、ひたすら笑える。もしかしたらこの映画はコメディ作品かもしれないと思ったほど。この映画のゾンビが最高なのは、敏捷に動けないこと。電池の切れかけたロボットのようにしか歩けないので、走ったらいくらでも逃げられそう。
それでも公開当時の人たちは、この映画を観てビビっただろうなぁ。だけど最近のリアルな映像を見慣れたボクたちにすれば、もはや笑い話にしか思えないソンビたちだった。
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