生まれたのは悪魔か天使か?
あるシリーズものを読んでいて、少しウザいと感じる設定があった。全部で13巻もあるシリーズの10巻目までその気持ちがくすぶっていた。
ところが第11弾を読んでそのモヤモヤが一気に吹き飛んだ。このためにその設定をしつこく使っていたらしい。感心するとともに、著者の根気に脱帽した。
2021年 読書#34
『トワイライト11 夜明けの守護神』ステファニー・メイヤー著という小説。
前回では主人公のベラが吸血鬼のエドワードとついに結婚した。物語のほとんどが幸せ気分に包まれたもので、唯一のトラブルは、ベラをずっと思っている人狼のジェイコブが、嫉妬のあまり結婚披露パーティーで暴れたことくらい。実はそのジェイコブが、この第11作では大活躍する。
ボクが少しウザいと思っていた設定は、ベラを思うジェイコブのしつこさ。ベラが好きなのはわかるけれど、あまりにも往生際が悪い。ただ今回はそのしつこさが、結果としてベラの命を守ることになった。いやぁ、よく考えたよねぇ。
実は前回のラストで、ベラの妊娠がわかった。お腹にいるのは人間と吸血鬼のハーフになる。だから人間の子供とちがって、わずか数日でお腹が大きくなるほどのスピードで成長する。エドワードは中絶を決めたけれど、ベラはどうしても認めようとしない、
過去に人間と吸血鬼のハーフが生まれたことがあった。子供自体は普通なんだけれど、吸血鬼として生きなければいけない。大人のように自制心がないことで、無差別に人間を襲ってしまう。そんな悲劇を起こさないため、エドワードは中絶しようとした。
さらに過去の事例によると、出産によって生き残った母親はいない。ベラを失いたくないエドワードは、必死になって諦めさせようとする。だけど瀕死状態となりつつもベラは子供を産もうとする。そこで想定外のトラブルが起きた、
エドワードたち吸血鬼と同じ地域に住む人狼は協定を結んでいる。互いの領地を侵さないということ。ただし吸血鬼が人間の命を奪うようなことがあれば、協定違反として人狼と吸血鬼は全面戦争になってしまう。
人狼のボスであるサムは、エドワードたちといい関係を築いてきた。だけどベラのことを知って考えを変える。生まれてくる子供が悪魔のような吸血鬼となって人間を襲う可能性がある。その前に母親のベラと共に殺してしまおうと決めた。群れの仲間であるジェイコブはその命令に背けない。
どうしてもベラの命を守りたいジェイコブは、あることを決行する。本来ジェイコブはボスの血筋だった。だから彼が宣言すれば、新しい群れを作ることができる。サムとの友情を捨ててまでも、ジェイコブはベラを守るために新しい群れのボスとなる宣言をした。
そしてエドワードと手を組むことで、吸血鬼と人狼の全面戦争をどうにか防ぐ。ベラをめぐって争っていた男性二人は、ベラを守るために協力することになった。そしてラストでついに赤ちゃんが生まれる。同時にベラの心肺が停止した。
生まれてきたのは悪魔、それとも天使? そしてベラはこのまま蘇生しないのか?
その続きは第12弾までおあずけ。気になるけれど、ラストまで残り少なくなったので焦らずに先へ進もうと思う。まぁ、ハッピーエンドだと思うけれどね。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。