事実は心をねじ曲げる
ボクがTwitterを見るのが好きなのは、人間が本音をさらすからだと思う。Twitterは匿名性が高いので、議論がエスカレートすると本性が出やすい。あまりいい趣味とはいえないけれど、議論が白熱しているのを傍観しているのは楽しい。それが誹謗中傷へと発展するのが困ったところだけれど。
Twitterにおける議論は、ある事実が真実かどうかについての言い争いが多い。それぞれに言い分があって、双方が主張の裏付けとなるソースを提供しようとする。良質な炎上は、それらの意見が拮抗していて賛否が判断しづらい。それだけに双方の立場になって観察することで、とても勉強になる。
ところがどう考えても結論が出ているような場合でも、劣勢に立っている人は自分の主張を曲げない。むしろ賛同する人が減れば減るほど攻撃的になってくる。この人は意固地で頑固だなぁ、と客観的な立場だと思える。素直に事実を認めればいいのに、と感じてしまう。
ところが厳然たる事実というものは、人間の心をねじ曲げてしまうらしい。とても興味深い心理研究が実施された。
Twitterでフェイクニュースを指摘された人は「かえって意見が偏っていく」との研究結果
世の中にはフェイクニュースがあふれている。それは誤解によるものもあれば、意図的なデマの場合もある。だけどそれを事実だと信じた人は、疑うことなく拡散してしまう。そんな人にそれらがフェイクニュースだと指摘したらどうなるか?
これはなかなか面白い実験。明らかに虚偽だとわかっている11の項目について、そのニュースを拡散している2978人のTwitterユーザーを特定した。そこからそのニュースに疑問を投げかけている人を除き、約2000人の人が実験の対象となった。
それらのフェイクニュースを訂正するためのアカウントを作成。3ヶ月前から準備して1000人のフォロワーもつけている。だから普通にTwitterを利用しているアカウントにしか見えないらしい。
そして被験者がフェイクニュースを拡散すると、そのアカウントを使って事実をリンクしたリプライを返した。そしてその後の様子を調査した。過去の心理実験によると、フェイクニュースの影響を最小限にするには、正確な事実を伝えることが有効だと考えられていたから。
ところが正反対の結果が出た。フェイクニュースを訂正された人は、かえってツイートの質が劣化して、偏りや誘導性が強まってしまった。訂正を受けた被験者は暴言が増加したり、言葉遣いが荒くなったという有意性のある結果が出ている。
人間は間違いを指摘されることが耐えられないのだろう。ましてやそれが正論であればあるほど、かえって意固地になってしまう。なんとなくわかるような気がするなぁ。だからいつまで経ってもデマやフェイクニュースが消えない。むしろ、より激しく拡散されてしまう。
事実が問題を解決することもあれば、かえって問題を複雑にしてしまうこともあるということ。人間の心ってやっかいだよねwww
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