メンヘラ女の演技に騙された
ボクが推している女優として、絶対に外せない二人がいる。それはエミリーブラントとレベッカ・ファーガソン。どちらも綺麗で魅力的というだけでなく、演技が本当に上手い。映画によって同じ俳優が演じていることを忘れてしまうほど。
なんとその二人が共演している作品がある。そして思ったとおり、二人の完璧な競演を観ることができた。
2021年 映画#73
『ガール・オン・ザ・トレイン』という2016年のアメリカ映画。同名小説を映画化した作品。原作を読まないとなんともいえないけれど、この映画の構成にやや難があったように感じた。
人物像を把握する前に、時間軸が次々と前後する。だから映画の導入部にすんなりと入っていけなかった。後半に視点を変えたり時間軸を前後させるのは効果的だと思う。だけど冒頭にこれをやってしまうと、原作を知らない人は混乱する。
前半に謎を散りばめて期待感を高めるのは重要。だから最初は時間軸に沿って人物像をじっくり語ってほしかった。だけど中盤から後半にかけて人物像がわかってくることで、ようやく物語の世界に没入することができた。
エミリー・ブラント演じるレイチェルはアルコール依存症。トムという男性と結婚していたが、子供ができないことでアルコールに溺れた。そして夫の会社に迷惑をかけたことで夫はクビ、結果として離婚することになった。
そんなレイチェルは失業したまま、列車に乗って以前に結婚生活を送っていた家を見るのを日課としていた。自分が住んでいた家には、トムが新しい妻と一緒に暮らしている。トムの再婚相手はアナという名で、レイチェルにできなかった子供を産んでいる、そのアナを演じているのがレベッカ・ファーガソン。
酒を飲むと記憶を無くしてしまうレイチェル。過去にはトムとアナの娘を連れ去ろうとした事件まで起こしている。レイチェルの心の支えは、以前の家の2軒となりに住んでいたメガンとスコットの夫婦。彼女たちのように幸せになりたいと思っていた。
ところが列車の中から、メガンが別の男性とキスをしているところを見てしまう。そのショックで酒に溺れ、自分を制御できなくなったレイチェルはメガンを咎めようとする。ところが記憶をなくし、気がつくと血だらけになって倒れていた。そしてその日にメガンは行方不明となり、やがて遺体で発見される。
その当日に目撃者もあったことで、レイチェルは警察に殺人の容疑をかけられる。ところが暴走した彼女は、メガンの夫のスコットに妻の不倫を伝えようとする。そのことでさらに自分を不利な立場に追い込んでしまう。
とにかくここまでのエミリー・ブラントの演技に圧倒されてしまう。完璧なアル中のメンヘラ女なので、彼女が殺人をやらかしても不思議じゃないと感じてしまう。だけどラスト近くになって真実が明かされる。
予想はしていたけれど、かなり衝撃的な内容。これから観る人のために、ネタバレはやめておこう。とにかくメンヘラ女の演技に騙されていた。それは登場人物のアナも同じで、レイチェルに関する真実を知って愕然とする。ここからのレベッカ・ファーガソンの演技も見ものだよ。
映画の構成としては微妙だったけれど、出演者の演技力によってカヴァーされた作品だと思う。メガンを演じたヘイリー・ベネットという女優さんも素晴らしくて、女性たち3人がこの映画を最後まで牽引していたという作品だった。
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