知らずに観たら騙された!
フィクションは嘘だとわかっているから、どんな映像であっても距離を置いて見ることができる。例えばスプラッター作品でも、ビビりながらも虚構の世界だと割り切っていられる。
ところが同じフィクションでも実話の映画化だと知ると、少し雰囲気がちがってくる。どこかに真実が紛れ込むことを意識するので、暴力シーンなんかはフィクションとの境界線が曖昧になってくる。俳優が演じているのに、事実を見せつけられているような気がしてくる。
そんな人間心理を刺激することで、フィクションを事実のように見せる手法がある。モキュメンタリーと呼ばれていて、虚構の物語を、あくまでも事実を伝えるドキュメンタリーとして構成する。ある作品がモキュメンタリーだと知らなくて、本気で怖くなってしまった。くそっ、完全に騙されたよ〜〜www
2021年 映画#85
『THE 4TH KIND フォース・カインド』(原題: The Fourth Kind)という2009年のアメリカ映画。宇宙人による誘拐、いわゆるアブダクションを扱った作品。アラスカのノームという街で起きた不可解な事件の真相に迫るという内容。
いきなり冒頭の演出に騙されてしまう。主演のミラ・ジョボビッチが本人として登場する。そして自分がこれから心理学者のタイラー博士を演じるけれど、実際に撮影された衝撃的な映像が何度も登場するので注意して欲しい、と警告する。
そして写真の二人が並ぶ。左が実際のタイラー博士で、右が演じているミラ・ジョボビッチということ。ところがこの左のタイラー博士も女優さん。ボクと妻はそのことを知らずに観ていたから、最後の最後まで本気でびびってしまったwww
事件の発端は、タイラー博士の夫が自宅で何者かによって殺害されたことから始まる。夫はあることを研究していた。それはノームの街の人が同じ夢を見て、何かに怯えているというもの。夫の研究を完成させたいタイラー博士は、夫の死のトラウマを抱えつつ研究を進める。
結論として同じ夢を見ている人は、宇宙人に誘拐されたという経験をしていた。それはタイラー博士の退行催眠によって明らかになっていく。その際の映像も、わざわざ実写版と映画版とを分割画面で編集している。それでますます事実だと信用してしまった。
最終的にはタイラー博士の娘のアシュリーが宇宙人に拉致されて、現在でも行方不明ということで終わってしまう。宇宙人が古代言語のシュメール語を使い、自分たちを神だと名乗っているという設定も説得力がある。
丁寧なことに、エンドロールでは登場人物たちの現状までテロップで出てくる。リアリティを出すために仮名の人物まで設定されている。この作品がモキュメンタリーだと知っていたら、いろいろと突っ込みどころはある。例えば実際の映像が雑だったり、警察の対応が不自然だったり。
だけど事実だと信じて観ているから、とにかく真剣になってしまった。ノイローゼになった男性が家族を銃殺するシーンなんか、本物の射殺シーンのようにボカシまで入っているからね。まぁそういう意味では、知らずに観たからこそ楽しめたということだろう。
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