戦うか、それとも逃げるか
泥沼化しているミャンマー情勢に関して、多くの日本人が再認識する出来事が起きた。サッカーW杯のアジア2次予選で来日していたミャンマー代表のピエリアンアウン選手が亡命を求めたから。
コロナ騒ぎでミャンマー情勢を忘れていた人にとって、改めて事態の深刻さを感じさせる出来事だった。ピエリアンアウン選手はインタビューに答えていて、祖国に残した家族のことを心配している。彼の亡命によって、家族に危害が及ぶことを危惧しているとのこと。
家族にSNSで連絡をとることができて、彼の決断を応援するといってくれたらしい。日本政府としてはピエリアンアウン選手の対応を進めつつ、彼の家族に対するミャンマー政府の行動をチェックしてほしいと願う。
ミュンマーで暮らす多くの人は、いま究極的な選択を求められている。戦うか、それとも逃げるか。ピエリアンアウン選手のように亡命する道を選ぶ人もいれば、戦うことを決意した人もいる。
元ミス・ミャンマーが「武装」を決意…!少数民族ゲリラから軍事訓練を受ける理由
元ミス・ミャンマーのター・テッテさんにインタビューした記事。彼女は国境付近で活動する少数民族武装組織と合流して、軍事訓練を受けている。ミャンマー軍部によるクーデターによって、究極の選択を迫られた彼女は戦うことを決意した。記者の質問に対してこう答えている。
「軍政のやり方が許せなかったことが武装を決意した理由。クーデター発生直後の2月には市民と一緒に平和的デモに参加していたが、軍兵士や警察官による残虐行為で、男女を問わず、子供までもが暴行を受け、拘留され、殺害された。もう武装化以外の選択肢はない。最終目的は軍政を放逐することだ」
どれだけ抗議のデモを行っても、犠牲者が増えるばかり。だから武装化以外の道はないと感じたとのこと。短い答えに、彼女の強い決意を感じた。
彼女と同じミス・ミャンマーとして思い出すのは、今年の3月にバンコクの大会に出場していたハン・レイさんが衝撃的な涙のスピーチをしたこと。
「私の母国では今こうして私がステージに立っている間も多くの人が命を落としている。どうかミャンマーを助けて下さい。国際社会の早急な支援が必要です」
彼女は帰国すれば逮捕される可能性があるので、タイ政府の許可をえてバンコクに滞在しているそう。
このような著名人の意思表明を恐れたミャンマー軍部は、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる人を次々に拘束して刑務所に送り込んでいるらしい。リンク先の記事にも書かれているように、ミャンマーで著名な女性映画監督であるマ・エインさんが、身柄を拘束されて以来行方不明となっている。
彼女以外にもミャンマーの著名な芸能人、俳優、文芸家などが次々と拘束されているとのこと。ここまでくれば、やはり選択肢は2つしかない。
戦うか、それとも逃げるか。
ボクならどうするだろう? 日本という安全地帯にいながらこんなことを想像するのは不謹慎だと分かっている。だけど考えざるを得ない。
家族を連れて逃げられるなら、亡命する道を選ぶだろう。だけど逃げる先に見通しがなかったら、おそらく銃を手に取ると思う。ましてや家族の誰かが殺されたり拘束されいたら何がなんでも戦う。
このままだと、ミャンマーは本格的な内戦となるかもしれない。美しい30代の女性が銃を手にしている写真が、言葉にできない違和感を伴ってボクの脳裏に刻み込まれている。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする