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高羽そらさんインタビュー

重いテーマほどコメディが最適

ずっと気になっていた映画をようやく観た。ヴィゴ・モーテンセンが主演している作品。ボクにとって彼は『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンとして心に焼きついている。原作の『指輪物語』を読むときも、いつもアラゴルンの姿はヴィゴ・モーテンセンだった。

 

そんな若き王が、太った中年の暴力的なオヤジとして再臨した。必死でアラゴルンのイメージを切り離しつつも、映画が本当に面白くていつしかそんなことを忘れていた。いまやボクにとってヴィゴ・モーテンセンは、最高のナイスガイであるトニー・リップとして上書きされた。

 

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2021年 映画#94

『グリーンブック』という2018年のアメリカ映画。実話を元にして映画化された作品。映画の舞台はボクが生まれた1962年。人種差別という重いテーマを扱っているけれど、コメディタッチで描かれている。だけどかえって物語に没入しやすく、本気で人種問題について考えることができる素晴らしい作品だった。

 

ニューヨークの『コパカバーナ』というナイトクラブで用心棒をしていたトニー・リップ。だけど店は改装工事となり、しばらく収入が途絶える。イタリア系の彼はマフィアとも付き合いがあり、裏の仕事ならいくつでも回してもらえた。

 

ところがある知人から運転手の仕事を紹介される。ドン・シャーリーという黒人のピアニストで、クラシックとジャズを融合させた演奏で全米のセレブから絶賛されているミュージシャンだった。面接を受けたトニーは、ドンに気に入られて採用される。

 

時代は黒人の人権を訴える公民権運動の真っ最中。そんなヤバい時期にドンはあえて差別の多いアメリカ南部のツアーを決行した。そうすることで黒人差別撤回への理解が進むと考えたから。それゆえドンは運転がうまくて、かつ腕っぷしの強いトニーを採用した。

 

ツアーはクリスマスイブまでの8週間。それまでトニーは愛する妻と子供たちと離れて暮らさなくてはいけない。だけど生活費を稼ぐために、運転手となることを決意する。だけど待っていたのは、予想をはるかに超える黒人への暴力と偏見だった。

 

具体的にどんなことがあったかは、これから映画を観る人のために内緒にしておこう。少し暴力的なシーンはあるけれど、最初に書いたようにコメディタッチになっているので安心して観ることができる。ボクも近いうちにもう一度観ようと思っているほど素敵な作品だった。

 

ラストシーンは特に最高。思い出しても涙が出てくる。この映画でボクの好きなエピソードを2つだけあげよう。ケンタッキー州についたとき、トニーはケンタッキーフライドチキンに飛びつく。車のなかにバケツで持ち込んで、運転しながら食べまくる。

 

不快感を示すドンに対して、黒人がこの味を知らないなんておかしいとトニーは力説する。そして嫌がるドンに無理やり食べさせるけれど、ドンはその美味しさにハマってしまうというエピソード。

 

もう一つは手紙に関するもの。トニーは愛する妻に何度も手紙を書いた。ところが文章が下手で、やがて我慢しきれなくなったドンが指導する。そしてその手紙を受け取った妻が、あまりに美しい文章に感動する。ところがラストシーンで、その手紙に関してちょっとしたやりとりがあって素敵な気持ちになれる。

 

トニーはその後、『コパカバーナ』のマネージャーを務め、俳優としても活躍する。脇役だけれど『ゴッド・ファーザー』の映画にも出演しているらしい。そしてドンとの友情は互いが生涯を終えるまで続いたとのこと。

 

いまだにアメリカで人種差別が消えない。だからこそこの映画は、現代になっても大勢の人の心に響くんだと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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