4分で性差別を打ち破った女性
まったくの偶然なんだけれど、今日観た映画は朝に書いたブログに関連するものだった。それは時代の変化に応じて法律は変えていくべき、というもの。
まさかそれを実践した人の実話を映画化した作品に出会うとは。自分で偶然と書きつつ、潜在意識が引き寄せたとしか思えないwww
2021年 映画#99
『ビリーブ 未来への大逆転』(原題:On the Basis of Sex)という2018年のアメリカ映画。アメリカ合衆国最高裁判事となったルース・ベイダー・キングスバーグの人生を描いた実話を映画化したもの。この程度の知識で見始めた。そしてあまりに面白くて、あっという間に2時間を過ごしてしまった。
そしてラストシーンを観てびっくり。まだ若いルースの姿が、同じ色合いの服を着た映画撮影時の本人に変わった。その顔を見てボクは思わず叫んだ。
「あぁ、この人の映画だったんだ〜〜!」と。名前を記憶してなかったので、本当に驚いた。
この女性の顔に見覚えがある人は多いはず。昨年の9月に亡くなったとき、後任の判事の選定が難航した。ルースさんは女性の権利のために戦ってきた法律家で、リベラル波の代表のような人。だからトランプ前大統領は、彼女の代わりに保守派の判事を任命しようと画策していたことがニュースになったから。
そのときは簡単に履歴を見ただけで、映画を観て彼女の凄さを初めて知った。いやぁ、勉強不足だったなぁ。
1950年代にハーバード大学の法科に入学したルース。ところが女性の入学が認めらたのは数年前で、そのときでもわずか9人だけ。女性トイレもないような状況で、女性に対する差別はかなりひどかった。映画でもそのあたりが時間をかけて描かれている。
ルースは結婚していて、さらに幼い娘もいた。夫のマーティンもハーバード大学の法科生で、二人は弁護士になることを夢見ていた。ところが夫にガンが見つかり、ルースは勉強、子育て、そして看病に追われる。それでも夫は奇跡的に助かり、無事に卒業することができた。
夫はニューヨークの弁護士事務所に就職できたけれど、ルースはことごとく断られる。成績はトップなのに、どの法律事務所も彼女を採用しない。女性、ユダヤ人、そして子供がいるというだけで相手にしてもらえない。ようやく見つけたのは、大学で法律を教えるという仕事だった。
弁護士としての経験を積めないことに関して、ルースはずっとコンプレックスを抱えていた。教授となっても知識だけの頭でっかちとして認められない。女性の差別をなくすために弁護士になったのに、活動することさえできない。
1970年になって、税法専門の夫がある事例をルースに見せた。女性は介護をすると、税金の控除が受けられる。ところが男性は控除の対象となっていない。未婚で母親の介護をしていたある男性が、裁判を起こしたが却下された。
ルースはこの事例に注目した。男性に対する性差別なら憲法違反だと認めてもらえるかもしれない。それを突破口にして女性の権利を主張できる。それでその男性に接触して上訴することで国家と戦うことにした。
だけどそう簡単にはいかない。弁護士としては素人のルース。そのうえ女性差別は激しく、判事たちは彼女を丸め込もうとする。だけど夫や仲間たちがチームを組むことで、ようやく裁判まで持ち込んだ。
それでも勝ち目がない。ほぼ負けが決まった状態で、判事が4分間だけ反論する機会をルースに授けた。なんと彼女はその4分で裁判の情勢をひっくり返してしまう。未来への大逆転という邦題は、このシーンから来ているんだろう。
この4分間は本当に見もの。ボクは手に汗握って興奮してしまった。これは実際に見るのが一番。結果としてルースは裁判に勝利した。そしてこの裁判をきっかけとして、次々に性差別のある法律を変えていく。おそらく時代の変化も後押ししたんだと思う。
ルースを演じたフェリシティ・ジョーンズは素晴らしい女優さんだった。調べみると、やはりイギリスの俳優。本当に素敵な作品だった。
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