ハリウッドで映画化して〜!
ちょっと、ちょっと、マジですごい日本の小説を読んでしまったがな〜〜!
直木賞候補だったのでチョイスした作品。だから何も知らずに読み始めて、気がついたらとんでもない世界に連れ去られていた。これだけ最後まで興奮が止まらなかった小説は久しぶりな気がする。
もしこの小説を映画化するとしたら、是非ともハリウッドでやって欲しい。日本人が主人公だけれど、大勢の外国人が入り乱れる内容になっている。アメリカ、イギリス、ロシア、中国等の俳優陣が必要となるので、完璧なキャスティングができるのはハリウッドしかないように思う。
この作品が映画化されたら、ネット配信を待たずに映画館へと行く。そこまで言い切れるほど、本当に面白い作品だった。
2021年 読書#68
『アンダードッグス」長浦京 著という小説。現在ネットで話題になっている香港が舞台となった作品。1997年に香港はイギリスから中国へと返還された。その返還時の出来事と、2018年の現在が同時進行していく物語。
これはできるだけ大勢の人に読んで欲しい作品なので、絶対にネタバレはしないでおこう。この物語の重要なポイントは、登場人物の背後にどの国が関わっているかということ。それがネタバレになるとワクワク感が半減するので、書きたいけれど書けないなぁwww
主人公は古葉慶太という証券マン。元農林水産省の官僚だったけれど、ある事件に巻き込まれて退職に追い込まれた。ある日、古葉に証券会社の顧客が接触してくる。マッシモというイタリアの大富豪。マッシモは古葉にどうしてもやって欲しい仕事があるのこと。その報酬は想像を絶する高額なものだった。
そして収入だけでなく、その仕事を成功させたら、陰謀によって彼を官僚の座から追いやった政府や財界の連中を失脚させることができる。考えさせてくれと答える古葉に、マッシモは選択肢を与えなかった。その仕事の現場となる香港へ行くしかない状況に追い込まれてしまう。
マッシモの要求は、香港の銀行に保管されているある資料を盗むこと。イギリスから中国へと返還される際、香港に関わってきたアメリカの政治家や実業家の悪事が記録された文書とフロッピディスクが極秘に運び出されることになっていた。そこにはアメリカだけでなく、世界中の権力者が悪事に関わった証拠が残されている。
ところが古葉が香港に到着した直後、マッシモは暗殺されてしまう。それでも彼の作戦はまだ生きていた。古葉がリーダーとなったチームは、香港人の林、イギリス人のジャービス、フィンランド人のイラリというメンバー。それぞれに古葉のように落ち目になった過去がある。
だから彼らは自分たちを『負け犬チーム』と呼んだ。それがタイトルの『アンダードッグス』という意味。このチームにさらに大勢の人物が関わってくる。
古葉の最大の敵はアメリカ。そのデータはアメリカにとって絶対に公表されたらマズいものだから。それゆえ古葉の応援に入ったのがロシアであり、中国であり、イギリスやフランスまで関わってくる。
それぞれの国がスパイや暗殺者を送り、古葉のチームを利用しようとする。そんな内外の敵と戦いながら、マッシモの遺志を受け継いでデータの強奪を決行するという物語。簡単に書けばそうなんだけれど、そうはいかない。
裏切りと陰謀が交錯する。誰が味方で敵なのかわからない。そしてアメリカが運ぼうとしている物は、単なるデータだけではなかった。ネタバレになるから書かないけれど、そりゃアメリカのCIAは本気で古葉を殺そうとするはず。
そして2018年の物語では、古葉の義理の娘が義父の事件の真相に迫っていく。この娘もかなりの訳あり。古葉が1997年にやらかしたことは、実はこの娘にも大きく関わっていた。その真相が明らかになるにつれて、この物語の壮大さが身にしみてくる。
そうして最終章を読んだら、ホッとすると同時に涙が止まらなかった。古葉慶太という男の凄さに感動するしかない。もし映画化するなら、俳優さんは誰がいいだろう? 複雑なキャラだから、かなりの演技力が必要になると思う。映画化して欲しいなぁ。
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