所変われば推しも変わる
ボクが毎朝電子書籍で読んでいる3冊の作品の一つが吉川英治さんの『三国志』。とてつもなく長い小説なので、1日に1章ペースで読んでいたら一年はかかるような気がするwww
といってもこの作品を読むのは初めてじゃない。おそらく最低でも5〜6回は通読している。初めて読んだのは小学校の高学年のころ。父が吉川英治さんのファンだったので、自宅に『私本太平記』、『新書太閤記』、『新・平家物語』という作品があったから。『三国志』もその一つ。
「小学生には難しいけれど、世界観の広さがとてつもないから面白いぞ」と父に言われて手に取った。たしかに中国の人物名は漢字が難しく、当時の本はほとんど仮名がふってないので苦労した記憶がある。それでもこの物語の面白さを十分に感じることはできた。
それゆえ熱烈な『三国志』ファンであって、いまでいえばオタクに近い。20代のころには横山光輝さんの漫画も全巻そろえて何度も読んだほど。ボクの世代、そしてもう少し若くてゲーム好きの人にも『三国志』ファンが多い。
ボクが印刷会社に勤めていた40代のころ、まだ20代前半の男性社員に『三国志』の登場人物に詳しい人がいた。話を聞いてみると、小説も漫画も読んだことがない。つまりテレビゲームの登場人物として名前を記憶しているとのこと。
もちろん本家本元の中国にも大勢の『三国志』ファンがいる。ところがアンケートをとってみると、日本とのちがいが明らかになったという興味深い記事を読んだ。
「三国志」は日本人も中国人も大好き(でも決定的な相違点がある)
『三国志」の三国とは、魏・蜀・呉の3つ。原典は中国の歴史書なので、国の攻防に関しては事実に基づいている。3世紀のころの出来事で、日本ではようやく卑弥呼の時代になろうかというころ。
いわゆる群雄割拠の時代で、最終的にこの3つの国が並立する状態となった。日本で人気があるのは蜀の劉備。これは吉川英治さんの小説や、横山光輝さんの漫画の影響が大きいように思う。
物語の始まりは若い劉備が母のために茶を手に入れようとするところから始まり、皇帝の血を引く身でありながら貧乏に耐え、やがて関羽・張飛という人物と出会うことで世に出る決意をする。この『桃園の誓い』というのは有名な場面であり、小説から入った人は主人公としての劉備に感情移入するのは普通だと思う。
ところが中国では劉備の人気はイマイチ。圧倒的に魏の曹操に軍配が上がっている。リンク先の記事から抜粋してみよう。
『奸雄だが、武芸に秀で、詩人でもあった曹操は、才能ある部下を見いだすことにたけ、かつて敵陣にいた人材でも構わず重用した。それに比べ、文才はおろか武術もパッとしない劉備は、涙を利用し人を動かすような情けない主君』
アハハ、めちゃ辛辣だよねwww どうやら毛沢東が曹操のファンだったそう。それで中国では曹操人気が根強い。
実はボクも曹操が好き。この件に関しては、中国の意見に同意するしかない。劉備という人物にカリスマ性を感じない。彼は関羽と張飛、そして諸葛孔明という軍師がいたからこそ魏や呉の国と対等に戦うことができた。
曹操という人物はかなりヤバいやつ。ボクのイメージとしては織田信長に近い。自分の目的のためなら帝を脅す。だけど才能ある人間を見つけることに秀でていて、彼の周囲にはすごい人物が集まってくる。光秀や秀吉を従えた信長とよく似ている。
でもその曹操以上にボクの推しなのが、劉備の家来であり、義兄弟の契りを結んだ関羽。『三国志』の登場人物で、彼ほどボクの心を揺さぶる人物はいない。頭脳明晰だけでなく、武術にも秀でている。もちろんそんな関羽を曹操が見逃すわけがない。
『三国志』で好きな場面がある。曹操に攻められて、劉備は逃げるしかなかった。関羽は劉備の妻たちを任されていたので、曹操に降伏するしかなかった。もちろん曹操は彼を自分の部下にした。ただし条件付きで。
主君である劉備の生存がわかったら、その段階で曹操の元を去るという条件。そして曹操に対して手柄を立てるだけでなく、最初の約束どおりに劉備の元へ戻ってしまう。このときの関羽が最高にかっこいい。
このまま書いていたら関羽の魅力を永遠に語ってしまうので、このあたりでやめておこうwww
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