理解不能で終わらない『何か』
小説や映画において、何がいいたいのかわからないけれど面白かった、という作品に出会うことがある。そうした作品には理解不能で終わらない『何か』が存在するんだと思う。その秘密を知っているクリエイターは強い。だって観たり読んだりしてくれる人たちが、作品をどう解釈してくれてもいいんだから。
ただ困るのは、理解不能のままで終わってしまう作品。久しぶりにそんな小説に出会ってしまった。
2021年 読書#85
『チュートリアル』円城塔 著という小説。SF作品で、作品の紹介を読んで興味を持ったので読んでみた。短編なのですぐに読めてしまったけれど、最後まで著者が何を伝えたいのか、ボクには理解不能だった。
設定はかなり面白い。イラストの写真のような不思議な形状の物体が予告なしに現れる。『セーブポイント』と呼ばれていて、それに触れることでその時点までの人生をセーブできる。RPGのゲームをやったことがある人ならイメージできると思う。
そして過去にセーブしたデータをロードすることで、そこから人生をやり直せる。それも未来の記憶を保持したまま。要するにゲームの設定をそのまま現実世界に反映させたという小説。これ自体はとても興味がそそられた。
二人の男女がこのセーブポイントを前にしてやり取りする。だけど最後まで読んだけれど、最初に書いたようにボクにはこの物語が理解できなかった。だとしたらそれはボクの読解力の問題だと思う。レビューを見ていると、面白いと絶賛している人もいるからね。
ボクは物語が好きなので、どうしても小説には物語を期待してしまう。でもこの作品はある種の観念や、哲学の表現を目的として書かれているように感じた。例えば輪廻転生や死生観まで解釈を広げることが可能かも。つまりご自分で理解してください、ということで『チュートリアル』というタイトルなのだろう。
残念ながらボクは理解不能のままで終わってしまい、そこに『何か』を感じられなかった。たとえ理解不能でも『何か』を感じることがある。ボクとこの作品との相性が合わなかったということだろうね。こればかりは仕方ない。
反対に理解不能だけれど、面白くて最後まで観たというものを紹介しておこう。結成10周年を迎えたイギリスのリトル・ミックスが、今年の11月に初めてのベストアルバムを出す。いまから心待ちにしているけれど、そのアルバムには新曲も収録されている。前もってリリースされたのが『Love (Sweet Love)』というタイトルの曲。
このミュージックビデオが数日前にリリースされたけれど、彼女たちは何がやりたいねん、というわけのわからない内容。だけど『何か』がそこにはあって、笑いつつも最後まで観てしまった。リトル・ミックスらしい素晴らしいハーモニーの曲なんだけれど、不思議なビデオに釘付けになってしまった。理解不能だけれどねwww
せっかくなので紹介しておこう。
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