テキサスで何が起きている?
1週間ほど前、かなりショッキングなニュースを見た。銃による殺傷事件が連日のように報道されるアメリカにおいて、信じられないような法律が成立した。それはテキサス州でのこと。
今月の1日に法案が通過している。銃規制緩和に関する法律で、免許を持たない一般住民が、安全講習を受けなくても公共の場で銃を人目に見える状態で持ち歩くことが可能になった。日本人には考えられない。
テキサス州では今年に入って、自殺を除く銃の発泡が3200件を超えている。議員たちのいい分としては、自衛のためにやむを得ない法律だということだろう。だけど警察官にすれば、銃をぶら下げている人物が善人か悪人か区別がつかない。それはかなりのストレスだろうし、疑心暗鬼によって暴発的な発砲事件が起きそうな予感しかない。
ところがテキサス州の暴走はこれで終わらない。同じ1日に施行された、さらに驚くような法案がある。
レイプでも近親相姦でも中絶できず、密告さえ奨励する新法に反発広がる
共和党支持者が多いテキサス州において、中絶反対の方向へ進むのはわかる。だけどこの新法はどう考えても悪法にしか感じられない。記事から抜粋してみよう。
『9月1日に施行されたこの中絶禁止法は、事実上、中絶を不可能にするだけではない。妊娠6週目以降に中絶をした本人だけでなく、中絶を行った医療関係者や中絶を手助けした人も告発するよう、一般市民に奨励する仕組みになっている』
こんなひどい法律があるだろうか? 妊娠の経緯は完全に無視されている。この記事でも問題視されているとおり、妊娠がレイプであっても、実の父親に乱暴された結果であっても、妊娠6週目以降は中絶することが許されない。そのうえ、医療関係者まで密告できるなんて。
これら銃や中絶に関する法律は、テキサス州に限ったことではない。他の州でも同様の法案が提出されたり、すでに成立しているものがあるらしい。もちろんアメリカ国民全員がそのことを容認しているわけじゃない。
ニューヨーク等の都市部を中心として、大規模な抗議行動が起きている。著名人、例えばミュージシャンのビリー・アイリッシュも、このテキサス州の中絶法案に対する懸念を表明していた。
銃の問題にしても、中絶の問題にしても、人間の命に関わる法律だと思う。つまり命に対する価値観が、アメリカ国内で2分されているということ。このような分断は、新型コロナウイルスに対する対応にも影響しているはず。
もしかしたら命に対する価値観の分断というのは、世界的に起きていることなのかもしれない。日本だって新型コロナに関して医療と経済が反目している。どちらも日本人の命を守ろうとする意図は同じ。だけど双方の主張がかみ合わない。
そんなことを考えていると、テキサス州のニュースが他人事ではないと思えてくる。うまく言語化できないけれど、モヤモヤしたものが心から離れないなぁ。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする