十二国記で最高のキャラ
映画でも小説でも、シリーズ化される作品は大勢の登場人物が活躍する。作品の内容によっては、特定の主人公が存在しない物語もある。そうなるとそのなかで惚れ込むキャラ、つまり『推し』の存在が大きい。
もしひとりでも自分の『推し』を見つけられた人は、どれほど長いシリーズであってもその物語にハマってしまうだろう。そしてボクは、その『推し』を見つけてしまったかもしれない。
2021年 読書#86
『十二国記 図南の翼』小野不由美 著という小説。90年代から執筆され、現在においても完結していないシリーズ。読む順番が大切ということで、ファンサイトのおすすめ順によって作品を追いかけている。それゆえ時代が前後することが多い。
最初の作品は日本の女子高生だった陽子が、十二国記の世界へと引き寄せられて女王となる物語だった。だからその陽子の行動を注目していたけれど、二つ前に読んだ『風の万里 黎明の空』という作品に、短い登場だったけれど気になる人物がいた。
恭国の女王で珠晶という名の12歳の人物。この世界では王となった段階で年齢が止まる。つまり殺されない限り死ぬことはない。とても生意気ではっきりものをいう女王として登場し、その作品の登場人物が甘ちゃんだと見抜いたことで、他国へ放り出してしまう。結果としてそれは陽子を助けることになる。
今回の作品はその時代から90年ほどさかのぼって、珠晶がどうして女王になったかを語った内容。恭国には王が不在となって27年が経過していた、国は荒れて、あちこちに妖魔が出現することで大勢の人が命を失っている。
裕福な商家の娘だった珠晶は、自分が王になると決意する。そのためには十二国の中心にある蓬山に行って、恭国の補佐担当となる麒麟に使命されなくてはいけない。わずか12歳なのに、珠晶は家出をして麒麟に会うために神の国へと向かう。
とにかくこの珠晶が最高のキャラ。生意気だけれどいっていることは正論。そして優しくもあり勇気も負けん気も強い。頭が良くて、人の上に立てるリーダーシップも有している。ただ子供なのでまだ考えに甘いところがある。この物語において珠晶は死ぬほどの経験をしながら、王にふさわしい人間へと成長していく。
『風の海 迷宮の岸』という物語では、麒麟がどうして王を選ぶかが描かれた。この物語は逆に王の候補がどうして麒麟に会うかが描かれている。麒麟に会うためには黄海という恐ろしい地域を通過しなくてはいけない。そこには恐ろしい妖魔が待ち構えている。
この物語を読んだことがない人に、その面白さを説明するのは難しい。これはもう読んでもらうしかない。ボクがいえるのは、これまで読んだ作品でいまのところ最高作品だと思っている。陽子が女王になっていく過程もすごかった。だけどキャラの面白さという点では、この珠晶にかなわない。
屈強な兵士や大人が振り回されつつも、彼女を慕って助けようとする。まさに王という雰囲気。このあとの物語でも珠晶は登場するのかな? ボクの『推し』となってしまったので、是非とも彼女の活躍をこの先も見たいと思う。陽子とのやり取りがあれば、さらに楽しみだぁな。
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