寄せ集めだって楽しめる
映画や小説に限らず、音楽や絵画という分野においても、過去作品に影響を受けていないものはない。どんな作品も模倣から始まる、といわれている。たとえ過去作品の寄せ集めであっても、そこから新しい世界を生み出すことはできる。
そんな挑戦をしている映画を観た。いや、もしかしたら純粋にオリジナルを追求した作品かもしれない。でも映画ファンにとっては、どう考えても寄せ集めだと感じる内容だった。ところがこれが意外に面白い。ボクは十分に楽しい時間を過ごすことができた。
2021年 映画#139
『スカイスクレイパー』(原題:Skyscraper)という2018年のアメリカ映画。写真のドウェイン・ジョンソンが主演しているので、いうまでもなくアクション映画なのがわかる。ボクは無骨だけど優しさが隠せない彼が大好き。ジェイソン・ステイサムのように、ダークな役はできないかもしれないけれど。
さて。はっきりと書いておこう。この作品を観た40代以上の映画ファンの人は、すぐにある作品を思い出すはず。
『タワーリング・インフェルノ』と「ダイ・ハード』。この二つの作品を混ぜて主演をドウェイン・ジョンソンにしたような作品。もしかしたらわざと似せているのでは、と感じるシーンがいくつもあった。パクリ? いやいや、これはリスペクトというべきだろうwww
それ以外にも他の作品の匂いを感じる。簡単にいえば寄せ集めのような物語。だけど最初に書いたように、最後まで観てがっかりするような内容じゃない。痛快だし、カッコいいし、ドキドキするし、ラストではホッとできる。102分しかない作品なので、あっという間に終わる印象だった。
主人公のウィルは元FBIの人質救出部隊のリーダー。だけど10年前にある男が妻と子供を人質に取った事件で爆発に巻き込まれ、左足を失くすという重傷を負う。そのとき彼を治療したサラと結婚して、二人の子供に恵まれる。そして香港にできたパールという世界一の高さのビルにおいて、オフィスを構えてセキュリティ監査を担当する仕事についていた。
パールのオーナーはジャオという香港人。彼はビルを建築する際、ある組織に金銭を要求された。仕方なく支払ったものの、それ以上ゆすられないよう、銀行口座の追跡システムによってデータを取得していた。その原本を求める組織は、テロリストを使ってその原本を手に入れるためにパールを襲う。
放火することでビルのシステムを麻痺させ、そのすきに原本を手に入れるという方法。そのテロにウィルと家族が巻き込まれてしまうという物語。火事でビルが崩壊していく様子は『タワーリング・インフェルノ』だし、ウィルが一人で家族を救おうとするのは『ダイ・ハード』という雰囲気。
だけど最後にウィルと子供の命を救ったのは、先にビルから逃げ出した妻のサラだった。その伏線は映画の冒頭にしっかりと仕込まれていて、なかなかいいところで伏線を回収していたと思う。
酷似している過去の作品は名作だといっていい。だからそれらの作品にはとうてい及ばない。だけどアクション映画として、最後まで楽しめる良作だったと思う。どうせどんな作品も、何らかの模倣があって当然だからね。観終わってスッキリできる物語だった、
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