今世紀最高のSF小説
今日のボクの心はこの世界にいるようで、遠い宇宙をさまよっている。現実生活に向き合いながらも、気がついたらある小説の世界へと引き戻されていく。その結末があまりにも想像を絶するものだったから。いや、マジですごい。おそらく今世紀最高のSF小説だといっても過言じゃない。
2021年 読書#91
『三体III 死神永生』下巻 劉慈欣 著という小説。上巻の感想については『宇宙人に真意を伝える方法』という記事に書いているので参照を。
ついに3部作の結末を知ってしまった。Netflixでドラマ化が進行中とのこと。果たしてこの物語を映像化できるのだろうか? そう心配するほど、この物語の結末は常人の感覚をはるかに凌駕している。
絶対にネタバレしないのでご安心を。今年の4月になってようやく邦訳された完結編だからね。本当は書きたくて仕方ないけれどwww
人類を苦しめていた三体文明は上巻で崩壊してしまった。一部の三体人たちが宇宙船で脱出しただけ。それは遠い宇宙に脱出していた地球人の艦隊が、三体文明の座標を宇宙に送信したから。
宇宙は疑心暗鬼の世界。だから自分たちの存在を脅かす文明を見つけると、その恒星ごと破壊してしまうのが掟。それゆえ自分たちの文明の座標を知られることは致命的なことになる。この物語の第二部は、この恐怖を抑止力とした羅輯(らしゅう)によって三体文明の侵略を食い止めた。
だけど三体文明が滅んだということは、太陽系の座標も宇宙に送信された事になる。それゆえ地球では生き残りの方法が模索される。この第3部の主人公は程心(ていしん)という女性科学者。彼女はこの物語の結末を読者とともに最後まで見届ける存在となる。
地球人類を守る方法は3つ。
一つは木星や海王星に沿った宇宙都市を作る。攻撃によって太陽が崩壊しても、それらの惑星を盾として生き延びることができる。
二つ目は太陽系全体をブラックホール化して光速を減速するという方法。これによって太陽系は完全に閉じた存在となり、人類は永遠に太陽系を出ることはできないけれど、攻撃されることもなくなる。ただし光速の減速によって、文明人としての生活は放棄しなくてはいけない。
三つ目は光速の宇宙船を開発して、太陽系から逃げ出すという方法。
これだけでも想像力が刺激されるよね。果たして人類はどの方法によって危機を脱しようとするのか?
ただしいっておく。この程度のことでこの物語は終わらない。これなら普通のSF小説でしかない。ここから先が想像を絶する世界に突入してしまう。とにかくボクが発したのは、「えぇぇぇぇ〜〜〜〜!」という言葉にならない唸り声。
おそらくこの小説をずっと読んできた人は、第3部の下巻の中盤あたりで同じ言葉を発しているはず。そしてそのまま未知の世界へと連れ去られてしまうだろう。さらに最終章近くでもっと想像を超える仕掛けがある。まさかと思うようなことが起きる。
この小説が電子書籍化されたら、ダウンロードしてずっと手元においておきたい。そして何度も読み返してみたいと思う。こんなふうに感じたのは『指輪物語』を読んで以来だと思う。
物理法則に関する専門用語が飛び交うので、慣れるまでは読みづらいと感じるかも。だけどそれだけの価値がある作品だと思う。おそらくこの3部作を読了した人は、その日から宇宙を見る目が変わってしまうはず。その変化を知りたい人は、ぜひとも手にとってこの物語に参加してほしいと思う。
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