便利を支える企業の奮闘
全国的にコロナ禍でECの利用が増えている。我が家も実店舗に行くより、ネットで購入することが多くなった。衣料品なんかはサイズチェックの機能性が向上しているので、試着しなくても購入を迷うことがなくなってきた。
驚くのは商品が届くスピード。Amazonは午後に注文しても、翌日の午前中に送料無しで届く。店舗に行く手間や交通費を考えたら、どう考えてもネットのほうが便利。だけどそう思えるのは、出荷、配送等の効率化という企業努力のおかげだろう。
そんな努力奮闘がわかりやすく書かれている記事があった。その企業はいわゆる酒屋さんで、なんとビール1本でも1時間以内に送料無料で届けてくれるらしい。Amazonも真っ青なサービスだよね。
「ビール1本でも1時間以内に無料でお届け」カクヤスがむちゃな配達を続けられる意外な理由
その企業は「なんでも酒やカクヤス」というお店。ボクは初めて耳にする名前だけれど、東京や大阪で事業展開しているらしい。ビール1本でも送料無料で届けてくれるなんて。それも1時間以内だよ!
ちょっと飲みたいな、お酒が足りないなと思ったら、1時間以内に冷えたビールを持ってきてくれる。極端な話、冷蔵庫がなくても大丈夫www
なぜこんなサービスができるのかについて、社長にインタビューしたのがリンク先の記事。これが苦労の連続で、読み物としてなかなか面白かったし勉強になった。
1921年の創業なのでかなり古い。町の酒屋さんとしてオープンした。そのうち飲食店をターゲットにした卸売り業へと転換。だけどバブルが崩壊したことで、1992年から一般の小売業を再開した。
だけどそのお店はコンビニの跡地で、多くの商品を陳列できない。そこで宅配サービスを始めた。いま現在この会社が店舗の配達エリアにしている1.2kmという距離は、このときに決められたそう。最初は1k mだったけれど、大量の注文を見込める団地の一部が入らない。それで少し増やしたのがいまでも残っている。
結果としてその範囲は適切で、ちょうどいい受注体制が取れるとのこと。だけど当初は配達料を取っていて、なかなかうまくいかなかった。少しずつ配送料を下げたり、現在のECでよくあるように一定額以上の注文には送料無料というのを始めた。だけど思ったより注文がこない。
そこで1998年には完全無料配達を決行した。このシステムはいまに始まったことじゃないらしい。だけど当然ながら赤字続きで経営は苦しかった。そこで社長が思いついたのが、先代社長が手がけていた飲食店への卸売り。
飲食店への営業を進め、もし注文忘れがあったらビール1本でも届けます、というサービスを始めた。だけど飲食店が追加注文するとしても、そんな少ない発注はない。そこそこまとまった量を注文してくれる。
その発注に一般家庭用の配達を組み込んだそう。そうすることによって個人宅への無料配送で赤字が出なくなった。そのうえ1時間以内に届けるというサービスを2003年から始めたことで、飲食店も個人消費者からも順調に注文が入るようになった。いやいや、時間をかけたすごい努力の結果だよね。
ボクたち消費者はそうした便利さを享受しているだけ。これはいいなと思っても、他に便利なサービスを見つけたら簡単に移行してしまう。だけど熾烈な顧客獲得競走の背後で、こうした企業が奮闘していることを考えてみるのはいいことだと思う。
そのことに想いが及ぶだけで、配達してくれた人に感謝の気持ちを伝えられるし、受け取った商品を大切に使える。便利が簡単なことじゃないのを、ボクたちは知っておくほうがいいと思うなぁ。
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