十二国記オールスターズ
マーベルコミックの人気キャラが集結する『アベンジャーズ』というチームがある。ボクは映画しか知らないけれど、ファンにとっては夢のような組み合わせだろうと思う。
そんな『アベンジャーズ』のような、あるシリーズ作品のオールスターズが登場する小説を読んだ。このシリーズを追いかけているボクにすれば、最初から最後まで興奮しっぱなしだった。ただその背後で同時進行している悲惨な物語を知っている。だから楽しみながらも、胸が苦しくなるような興奮だった。
2021年 読書#106
『十二国記 黄昏の岸 暁の天』小野不由美 著という小説。いよいよ『十二国記』シリーズも現在出版されている最新巻に近づいてきた。次からはその最新作の物語となる。すっかりこの世界の虜になっているので、嬉しいような、寂しいような複雑な気持ちになっている。
この作品は最初にも書いたように、これまで登場したキャラが総出演するという夢のような展開。ボクの大好きな恭国の王である珠晶が出てないので、それだけは残念だったけれど。
この物語は、ボクがひとつ前に読んだ作品と関連している。十二国記シリーズ最初の作品であり、物語の舞台が唯一、ボクたちが暮らす現代の日本だったという作品。その感想については、『戻る場所のない心の叫び声』という記事に書いているので参照を。
その作品の主人公は高里という名の高校生。彼をいじめたり攻撃すると、その人間は不審死を遂げる。最終的には200人以上の人間が死んでしまうという悲惨な出来事が起きる。その高里の正体は、泰麒(戴国の麒麟)という人間ではない存在だった。
十二国記の十二の国は、王と麒麟の二本柱で運営される。麒麟が王を選び、選ばれた王は麒麟を部下として手元に置く。もし麒麟が死ねば、その王も死んでしまうという運命共同体。
高里の周囲で悲劇が起きていたとき、十二国記の世界では何が起きていたのかを語ったのが今回の作品。だから二つの作品は完璧にリンクしている。不幸の始まりは戴国で謀反が起きたこと。王は行方不明となり、泰麒は謀反人に殺されそうになる。
殺されそうになる直前、泰麒は生まれ育った蓬莱(ボクたちが暮らす世界)へと逃げた。だけど麒麟の角を折られたことで記憶をなくし、元の世界へ戻る能力を失っていた。それで高里という高校生として暮らしていた。だけど麒麟に使令としてついている妖魔が、高里をいじめる人間を殺していく。これが悲劇の真相。
一方この小説では、行方不明となった泰麒を見つけるまでが物語の中心。普段は他国に干渉しない王や麒麟たちだけれど、中嶋陽子という高校生だった経験のある慶国王の陽子によって、これまでの登場人物たちが集められる。
そこでチームが組まれ、最終的に泰麒の居場所がわかる。そして無事に助け出すという内容。そこには様々なドラマがある。だけどこのシリーズを知らない人に書いても分からないので割愛しておこう。だけどこれまでの作品の総決算のような内容で、読み終えるのが本気で寂しくなるほど素敵な物語だった。
さて、いよいよ最新作を読める。といっても、このシリーズはまだまだ続きそう。常に悲劇の予感がつきまとうので、今後の展開が心のどこかで気にかかっている。それだけファンになってしまったということだろうなぁ。
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