投票の決め手は誰を見ているか
いまは2時間ほど買い物に出るだけで、選挙カーや街頭演説に遭遇する。衆議院選挙の真っ最中なので仕方ない。そのうえ神戸は市長選も実施されるので、さらに騒々しい。
ボクはすでに期日前投票を済ませている。今回は久しぶりに悩んだ。決め手に欠けている印象が拭えず、投票所に向かう途中まで迷っていた。最終的に決めたのは、候補者が誰を見ているかということ。
街頭に立って市民に呼びかけている候補者でも、心の底では支持母体組織のことしか考えていないかもしれない。政治家というのはそういうもの。だから正解というものはない。とにかく候補者の視線の先を想像して、投票するかどうかを判断するしかない。
候補者の視点によって政治はどのように変わるか? わかりやすい例がある。
「本の最低配送料」を定めて実店舗の書店がAmazonと競争するのを助ける法律が可決される
フランスでユニークな法案が通過した。「本の最低配送料」を定めるというもの。つまり送料無料、あるいは格安の配送料を認めないという法律。
この法案が出されたのは、Amazonに追い詰められた実店舗の書店を守るため。フランスではAmazonから書店を守るため、書籍の割引販売を禁止した。そこでAmazonが考えたのは無料配送。個人の書店にはできないこと。
でもフランス政府は黙っていない。それを受けて無料配送を禁止した。しつこいよね〜www
だけどAmazonはもっとしつこい。配送料を1ユーロセント、日本円にして1.3円という低価格にした。もう笑うしかない。たしかに無料じゃない。
それゆえフランス政府は、ついに「本の最低配送料」を定めることになった。Amazonは他国に同じ法案が出ることを嫌い、懸命にロビー活動をしたらしい。それでもフランス政府を思いとどまらせることはできなかった。
これは日本においても同じようなことが起きている。Amazonの出現によって、個人経営の書店が廃業したり、倒産する取次会社が出ている。フランス政府としては、街の書店を守ろうと必死になっている。それはそれで理解できる。
ところがフランスの新しい法律によって、不利益をこうむる国民がいる。フランスの書店は都市部に集中しているらしい。だから地方に暮らしている人にとっては、配送料の負担が少ないAmazonが本を手にする貴重な方法だった。でもこの法案によって、本は定価、配送料は最低額を支払わなければいけない。
歩いて近くの書店で本を買える都会の人はいい。だけど地方の人にとって、この法律は歓迎すべきものじゃない。要するにフランス政府としては、都会の書店に目を向けているということ。そして地方で暮らす国民のことは目に入っていない。これが政治というものだろうね。
これから投票に行く人は、候補者がどこを見ているかをチェックしたほうがいい。選挙中は八方美人になっているから、誰にでも役に立つようなことを口にしている。だけど所属する政党や、候補者の過去の行動、並びに言動をチェックしていると見えてくるはず。
ちなみにフランスのAmazonはこの先どう対抗するんだろう? また何か新しい方法を考えそうで、どうなるのか楽しみにしている。
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