この世界は別次元に存在する
ダンカン・ジョーンズという人を知っているだろうか? デヴィッド・ボウイの息子で、映画監督として名を知られている。ボクは彼の作品が大好き。
『月に囚われた男』と『ミッション:8ミニッツ』は何度観たか思い出せないほど。特に『ミッション:8ミニッツ』はオススメ。パラレルワールドを描いた最高作品だと思う。ジェイク・ジレンホールとミシェル・モナハンの素晴らしい演技にどれだけ泣かされたことか。
そのダンカン・ジョーンズがファンタジー映画を撮影した。ボクは未見だったのでワクワクしながら、同時に不安も覚えていた。なぜならその映画の世界観が『ロード・オブ・ザ・リング』と酷似しているから。人間、ドワーフ、エルフ、そしてオークが登場する。
だけどボクの心配は杞憂だった。素敵なファンタジー作品に仕上がっていたと思う。
2021年 映画#158
『ウォークラフト』という2016年のアメリカ映画。テレビゲームを原作とした作品としては、歴代で最も売れた映画となったらしい。ストーリーについては多少の難はある。でもこれはゲームである程度決まっているから仕方ないだろう。
だけど最初に書いたように、人間、ドワーフ、エルフ、そしてオークという異種文明が完璧に調和していた。基本的には人間とオークの対決という図式で、このあたりは『ロード・オブ・ザ・リング』と同じ。
主人公はローサーという人間の騎士。人間世界とは別にあるオークの世界から大量のオークが攻めてきた。グルダンというオークが魔術を使い、人間世界への扉を開いたから。その扉のエネルギー源になるのは人間の生体エネルギー。それゆえ大量の人間を捕虜にして、さらに大きな扉を開こうとしていた。
その邪悪な魔法はフェルと呼ばれている。実は人間世界の守護者である魔法使いのメディヴがそのフェルの魔力に負け、オークを引き寄せていた。魔法使いの堕落に気づかない王のレインは窮地に陥る。
人間とオークの架け橋となったのは、半オークのガローナという女性。人間とオークの混血。ガローナを通じて、ダルダンに反感を持つオークのデュロタンがローサーと協力する。人間と手を組むことで、真の悪魔を追い払おうという展開。
ところがなかなか簡単にはいかない。王のレインは殺され、ガローナはオーク側につかないといけない状況に追い込まれる。最終的にはローサーと見習い魔法使であるカドガーの活躍で、ダルダンの野望は阻止される。だけど人間とオークの戦いが終わったわけじゃない。フェルの魔法を操っている謎の存在もいるような様子。
ということで続編につながる展開らしい。戦いで死んだオークのデュロタンには息子がいて、その赤ちゃんはオークの裏切り者に殺される寸前に川に流されている。この子供も成長して関わってきそう。続きが気になってしまう展開だなぁ。
物語としてはたしかに『ロード・オブ・ザ・リング』の二番煎じかもしれない。だけどこの世界観には、言葉にできない普遍性を感じる。つまり作者や設定が変わっても、その世界観に妙なリアリティを覚える。もしかしたらこの世界は、どこかの別次元に実在するのでは?
そんなことを本気で思ってしまうほど、ボクはこの物語の世界観が気に入っている。
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