食料自給は防衛省の管轄に
かなりゾッとする記事を読んだ。なんとなく分かっていたけれど、具体的な数字を見せられたらショックが大きい。
2020年度における日本の食料自給率が、過去最低を記録したとのこと。リンク先の記事は、それがどれほどヤバいことかについて書かれている。確かにヤバい。
食料自給率は人間の胃を満たすカロリーベースと、食料品を金額に換算した生産額ベースの2種類があるそう。やはりわかりやすいのはカロリーベースだろう。実際に日本人が食べていけるかどうかを示すものだから。
2020年度のカロリーベースの食料自給率は、前年度より0.38ポイント減少した37.17%という過去最低の数字。日本は食料の6割を輸入に頼っている。これだけだとピンとこない人は、他国との比較を見れば驚くはず。
カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%となり、日本とよく似た島国のイギリスでも65%という数字。37%という数字の低さはかなり異常。日本の場合、食品別だと100%自給できているのは米だけ。
なぜそんなことになったのかについては、リンク先の記事に書かれているので参照を。簡単にいえば、人口に比べて日本は圧倒的に農地が少ない。さらに一軒の農家単位の生産量が他国に比べてかなり低い。小規模な農家が多数だから。
日本の国土の60%以上は森林。だけど木々を伐採して農地にしてしまうと、雨の多い日本では水害を招くことになる。だけど人口が増えているので、農地に適した土地は住宅が建っている。そのうえ農業政策が機能せず、農家や農地が守られてこなかった。当然ながら輸入に頼るしかない。
いまの日本で輸入が途絶えて、食糧不足になったとしたら? 基本的にはカロリーの高い芋を使うしかないらしい。農水省のシミュレーション結果がこの記事に書いてあるので抜粋してみよう。
『小麦やコメは1日1杯程度に抑えてイモを代替にすることで主食を賄い、さらに牛乳は5日に1杯、焼肉は19日に1皿、卵は3カ月に1個……。そんな食生活に切り替えていくことになるとしている(農林水産省「食料自給率及び食料自給力の検証、2019年11月」より)』
こんな生活、いまの日本人は耐えていけるだろうか? だけどもし本当に輸入が停止した場合、こうでもしないと日本人は生きていけない。それほど食料自給率が限界まで低下している。
これは縦割り行政の限界だと思う。農水省に任せたままだと、おそらく何も解決しないように思う。具体的にどうしていけばいいのかは分からない。だからといって手をこまねいている状況ではない。
諸外国では食料自給を国家の防衛項目として規定しているらしい。輸入が停止する理由として、考えられるのが戦争だから。それゆえ国家を守るために、防衛政策の一環として食料自給が検討されているそう。
日本もそうするべきだと感じる。農水省だけに任せるのではなく、国の防衛戦略として防衛省にも関与させるほうがいいように思う。いままでとちがった新しい視点を取り込むことで、深刻な日本の食料自給率を改善する光明が見えるかもしれない。もちろん防衛省だけでなく、他のすべての官庁も巻き込むべき案件だろう。
今日は衆議院選挙。日本の現状について、広く、かつ深い視点で見ることのできる人が当選することを願っている。
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