音と映像の完全融合に感動
映画でまず重要なのはストーリーであり、俳優の演技や監督の演出も作品に影響する。そして映画に欠かせないのがサウンドトラック。ミュージカル映画なら音楽が注目される。だけどアクション作品なのに、音楽と映像が完全にリンクしている作品を観た。
なんてすごい映画なんだろう。ボクはいまのところ今年になって160本の映画を観ているけれど、イチオシだと宣言したくなる作品だった。
2021年 映画#161
『ベイビー・ドライバー』(原題: Baby Driver)という2017年のアメリカ映画。
主人公はベイビーという通称名の青年。幼いころ両親と共に交通事故に遭った。その事故で両親は亡くなり、彼は耳鳴りの持病を持つようになった。その耳鳴りを和らげるため、常にiPodで音楽を聴いている。
自動車事故で両親を失っているのに、ベイビーは天才ドライバーだった。あるとき車を盗んだが、それは暗黒街の大物であるドクの車だった。その盗難による損失を返済するため、ベイビーはドクの指定する仕事をすることになった。それは強盗実行犯の『逃し屋』というもの。
事件現場で待機して、強盗を済ませた実行犯を車に乗せて逃げる。ベイビーのテクニックは超一流なので、返済が済んだあともドクは彼を離さない。最後のつもりで受けた仕事で、大変な事態に巻き込まれてしまうという内容。
ベイビーとダイナーのウエイトレスであるデボラとの恋愛物語にもなっている。紆余曲折あるものの、ベイビーとデボラにとってハッピーエンドになる。内容は知らずに観るほうが面白いので、ネタバレはこのあたりにしておこう。
まずはカーアクションが本当にすごい。ベタな表現だけれど手に汗握る。さらにカメラワークが素晴らしい。冒頭でベイビーが登場するシーンなんて、超長回しのカットで、観ているこちらが緊張したほど。そして最初に書いたように、音楽とのリンクが素晴らしい。
ベイビーがiPodで聴いている音楽がBGMとなる。それが実際の映像と完璧に共鳴している。自動車のワイパーの動きまで音楽とリンクしている。そして数々の名曲がまるでミュージカル映画のように流される。
ベイビーとデボラを殺そうとするバディとの対決シーンで流れていたのは、クイーンの『ブライトン・ロック』という名曲。この曲を知っている人なら、ギタリストのブライアン・メイが奏でる凄まじいギターソロを知っているはず。そのソロに合わせて、アクションシーンが展開されていく。音楽編集の見本のような作品だと思う。
ベイビーを演じたアンセル・エルゴートは今後注目すべき若手俳優だと思う。素晴らしい演技だった。デボラを演じたリリー・ジェームズはボクが以前から関心を持っていた女優。『マンマミーア』の続編でメリル・ストリープの演じたドナの若い時代を演じていた。
そしてボクの大好きな『イエスタデイ』という作品でも、主人公の相手役とし熱演していた。さすがイギリスの俳優さんだよね。そしてケヴィン・スペイシーやジェイミー・フォックスという名優が脇を固めている。この二人の悪役はやっぱりいいよなぁ。
ツッコミどころはあるけれど、観て絶対に損はない映画だと思う。久しぶりに爽快な気分になった。
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