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高羽そらさんインタビュー

戦争を始めたのは誰なのか

先日『ヒトラー最後の12日間』という映画を観たことで、これまで抱いていたヒトラーのイメージを白紙に戻すことにした。そしてその映画の原作となった2冊の書籍を読んで、新しいイメージを再構築してみようと考えている。

 

そんなことを考えているせいか、またまたヒトラーの映画が目についてしまった。コメディ作品なので、もちろん事実に関係のないフィクション。だけど笑うに笑えない、かなり辛辣な風刺作品だった。

 

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2021年 映画#171

『帰ってきたヒトラー』(原題:Er ist wieder da )という2015年のドイツ映画。原作はドイツでベストセラーとなった小説とのこと。コメディ作品だと言うことなので気楽に観たけれど、笑顔を浮かべつつも背筋がゾワゾワとする作品だった。

 

1945年にベルリンの総統地下壕で自殺したはずのヒトラーが、いきなり地下壕の外で目を覚ます。起き上がって歩き出すと、誰も自分を総統として認識していない。パニックになりながらも新聞の日付を見て事態を理解する。その世界は2014年のベルリンだった。

 

そんなとき、テレビ会社をクビになったザヴァツキという名の男性がヒトラーを見つける。顔が似ているだけでなく、話し方や雰囲気までヒトラーにそっくり。そこで彼を使ってテレビ会社に売り込むことを考える。テレビ会社は新人のモノマネ芸人だと馬鹿にするけれど、興味を持った女性局長がコメディ番組に出演させた。

 

笑いを取るつもりで出演させたのに、ヒトラーはテレビ画面に向かって演説をする。そのカリスマ性の高さに、スタジオにいた人だけでなく、視聴者も新人芸人の演説に熱狂する。その結果、そのテレビ局のすべての番組に出演することになった。

 

この段階では笑っていたけれど、少しずつ笑えなくなってくる。タイムトリップをしたことを自覚したヒトラーは、それまでのドイツの歴史、さらに現在のドイツが抱えている問題を猛勉強する。コンピュータも使えるようになって、あっという間に2014年のドイツに順応していく。

 

そして民衆が何を望んでいるかをつかむ。それは移民問題。今朝のブログでも書いたように、ヨーロッパは難民等の移民によって、自国の人間の仕事が奪われている。それはドイツも同じで、民衆の不満の多くを占めるのが移民問題だった。

 

1930年代にユダヤ人を弾圧することで頭角を表したヒトラー。2014年では移民排斥をスローガンにして国民に呼びかけた。大勢のドイツ人が彼の言葉に賛同することで、支持を増やしていく。ヒトラーにすれば、第二の人生が始まったようなもの。

 

やがてザヴァツキはヒトラーが1945年からタイムトリップした本物だと気づく。このままではドイツは間違った方向に進んでしまう。そう思って彼を殺そうとしたが失敗。本物のヒトラーだと必死で訴えるけれど、誰も信用してくれない。そして彼は精神病院へ収容されてしまう。

 

ということでそっくりさんだと信じられているヒトラーは、民衆の支持を集めていくというエンディングだった。

 

本当によくできた映画で、ユダヤ人の弾圧と移民問題をうまく結びつけている。移民に反対しているのが極右勢力というのも不気味。少しだけ笑ったのは、現在のネオナチ組織に本物のヒトラーが襲われるシーン。シャレが効いていて本気で笑ってしまった。

 

この映画を観て感じたのは、ヒトラーという人物は民衆の意図をつかむことが上手い人だったということ。国民が何を望んでいるかを察知して、最適なものを提供していく。おそら第二次世界大戦も、そうして始まったのだろう。

 

つまり戦争を起こしたのは民衆だということ。民意の代表としてヒトラーが選ばれたに過ぎない。この作品はその事実を2014年に置き換えることで浮き彫りにしている。それがわかったとき、背筋がマジで寒くなった。戦争の本質をそこに見たような気がしたから。

 

原作ではヒトラーが戻るのは2011年になっている。ストーリーもやや違うようなので、原作も読んでみようと思っている。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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