バナナを食べたら国外追放
冗談みたいなブログのタイトルだけれど、これはマジで深刻な話。日本人には理解し難いことだろう。でも知っておくべきことだと思う。それが世界の現状なんだから。
リンク先の記事は、トルコで起きていることをNHKが紹介したもの。トルコにおける難民問題が騒動の発端となっている。
トルコは中東諸国の難民を積極的に受け入れている。それゆえシリアやアフガニスタンから多くの難民が安全を求めてやってくる。政府の方針としてはそうなんだけれど、国民にとっては難民は不満の種となっている。
この難民問題について、トルコのテレビ局が今年の10月にインタビューを行った。すると難民の受け入れに反対するトルコ人たちが次々と意見を述べた。そのなかにこんな不満があった。
「シリア人は俺たちより楽に暮らしている。俺はバナナも食えない。お前たちはキロ単位でバナナを買っているじゃないか」
するとその場にいたシリア人の女性が反論した。
「私たちは自分たちのお金を払っている。タダでもらっているわけではない」
もちろんトルコ人も黙っていない。「違う。あんたたちには難民支援のためのモノが買えるカードがあるじゃないか」と反論した。
このやり取りを見た難民たちが、バナナを食べる映像をネットで流し始めた。トルコ人の抗議に対する皮肉の意味を込めて。自分たちは祖国を離れて、トルコで必死で働いていることを伝えたいから。
だけどトルコ人はさらに反感を持った。なぜなら低賃金で働く難民によって仕事を奪われているのが現実。そんな不満が爆発したことで、シリア人はトルコを侮辱している、シリア人を送りかえせ、という声がネットで爆発した。
そこでトルコの入国管理局は、「挑発的なバナナを食べるアクションを含む動画が流布されている」という声明を発表し、11月12日時点で、投稿に関係した45人に対して国外追放する手続きをとっている、と発表した。
実際に国外退去を命じられた人はいないそう。だけどこの警告を受けて、バナナを食べる動画を削除した人は多い。たかがバナナ、されどバナナ。このトラブルはトルコにおける難民問題の複雑さを象徴している出来事だと思う。
そしてこの難民問題はトルコだけでなく、ヨーロッパ各地でも以前から波紋を起こしている。低賃金の労働力確保のために難民受け入れを主張する企業と、治安の悪化や仕事を奪われることに対する不安を主張して難民の受け入れに反対する人たちが争っている。
実は夕方のブログで紹介するつもりの映画も、ドイツにおける難民問題にフォーカスした作品。イギリスがEUを脱退した背景として、難民受け入れが大きく影響している。
日本人にとって遠い国の出来事のように感じるけれど、いずれは無視できなくなってくるはず。高齢化社会で働き手の人口が確実に減少している。そのためには難民や移民の受け入れについて前向きに検討するべきという意見も出てくるはず。そのときには、日本でも同じ問題が起きるだろう。
だからこのトルコの出来事を対岸の火事としてではなく、自国の問題として真剣に受け取るべきだと思う。
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